Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

県内におけるレンタカー需要の動向

要旨

●県内におけるレンタカーは、主に観光客を中心に利用され、入域観光客数の増加とともに需要も伸びている。10年前と比較すると2014年には、レンタカー許可車両数は2万4,244台と2倍の増加、レンタカー事業者数は3倍の449社となっている。

●レンタカーはシーズンの繁閑にあわせて調達、売却されており、事業者は年中一定の稼働率を保つことができる。したがって、年間の観光客向けのレンタカー貸渡台数は入域観光客数とおおよそ同じ動きで推移していることがうかがわれる。推計によると、13年度の観光客向けの貸渡台数は135万台となり、1日平均でみるとおよそ3,700台のレンタカーが貸渡されたことになる。

●レンタカー許可車両数と入域観光客数のそれぞれ04年の数値を100とした場合、13年には入域観光客数が125に対し、レンタカー許可車両数は214となっている。レンタカーが入域観光客数の増加率を大きく上回っているのは、観光以外の目的で利用されるケースが増えていることが要因と考えられる。

●許可車両数の増加要因としては、新しい格安航空会社の就航等による国内観光客の増加と直行便の新設やビザ緩和等による外国人観光客の増加が挙げられる。外国人観光客の利用に関しては、香港、台湾、韓国からの利用者が多い。また、家族や個人旅行の増加といった旅行形態の変化やインターネットの利便性の向上等といったことも要因となっている。

●一方では、空港周辺の交通混雑や従業員不足、駐車スペースの不足といった事業者における課題もある。利用者からは、レンタカーを受け取るまでの手続き時間の短縮やインフラ整備(道路網・標識等)等の要望が寄せられている。また、これまで来訪者が少なかった自然海岸や集落等へのレンタカーによる立ち寄りが増え、地域住民の生活環境に変化が生じてきている。

●空港周辺にレンタカーの総合基地を造ることや既存の平面駐車場を立体化することで、空港周辺の道路混雑や交通事故の誘発を緩和する必要がある。人手不足に関しては、新たな労働力として外国人労働者の受け入れを検討することが必要であろう。

●那覇空港第2滑走路の完成や観光客の誘致等により今後さらに観光客が増え、レンタカー利用者も増加する見込みだが、観光客の利用交通手段におけるレンタカーへの過剰依存は、交通渋滞の深刻化や観光客層の偏り等を招くため避けるべきであろう。タクシーや路線バス、モノレールといった公共交通機関の利便性をより高め、レンタカーと公共交通機関が連携することで、レンタカーへの過剰依存を回避する取り組みが求められる。それが観光客数の増加基調を支えるとともに、幅広い層の観光客の入り込みにつながると見込まれる。

 

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