調査レポート
沖縄県における若年層の県外流出の実態と課題 ~地域とのつながりを育み「帰りたくなる場所」と思える魅力的な沖縄へ~
( 要 旨 )
・沖縄県ではこれまで人口増加が続いてきたものの、2022年以降は人口減少局面に入り、生産年齢人口の減少と高齢化が進行している。そうしたなか、若年層の県外流出は、地域社会や経済活動にさまざまな影響を及ぼすことが懸念される。
・若年層が進学や就職を契機として県外へ挑戦し、多様な経験や知識を身に付けることは、個人の成長やキャリア形成の観点から意義のあることである。しかし、若年層の県外流出は地域における人手不足や地域の高齢化を加速させる要因になり得るため、沖縄県の持続的な発展を考える上で重要な課題となっている。
・本レポートでは、統計データを用いて若年層の県外流出の実態や要因を整理するとともに、行政機関、教育機関、企業等へのヒアリング調査を実施し、定量・定性の両面から分析を行った。
・分析の結果、沖縄県における若年層の県外流出は新型コロナウイルス感染症拡大前と比較して増加傾向にあり、若年人口そのものが減少するなかでも転出超過が拡大していることが確認された。沖縄県は島しょ県であり、地理的条件から他府県と比較して県外流出のハードルは高いと考えられるものの、近年は県外流出が拡大している状況にある。
・若年層が県外へ転出する主な契機として、「進学時」と「就職時」の二つが挙げられる。特に高校卒業後は、県外大学への進学や県外企業への就職を選択する若年層が多く、進路選択が人口移動に大きな影響を与えている。
・「進学時」においては、県内大学では学部・学科の選択肢が限られていることに加え、各種奨学金制度や渡航費支援、県外大学による独自の支援制度が充実していることから、県外大学への進学を後押ししているものと考えられる。
・「就職時」においては、賃金水準や福利厚生などの雇用条件において県外企業が優位な場合が多いことに加え、沖縄県では物価水準を考慮した場合の実質的な生活コスト負担も相対的に大きいことから、若年層にとって県外就職が有力な選択肢となっていると考えられる。
・ヒアリング調査では、若年層の県外流出は、キャリア教育や職業理解の機会不足、県内企業との接点・情報発信の不足、県内外企業の待遇等の比較による就職先の決定、就職後のミスマッチによる早期離職など、就職時点における賃金や待遇の差だけでなく、進路選択から就職後の定着までの各段階における要因が複合的に重なって生じていることが示唆された。
・若年層の県内定着を促進するには、沖縄県で自身の将来像を描きやすい環境を整備することが重要である。これらを踏まえた検討事項として、「早期キャリア教育支援の強化」、「県内企業における育成体制の充実と、キャリアパスの明確化」、「支援制度活用促進に向けた情報発信の強化」、「地域環境の整備と多様な働き方の推進」の4点にまとめた。
・さまざまな取り組みの積み重ねは、若年層が沖縄県で将来を描く基盤となり、県内で働くことが「選択肢のひとつ」となるだけでなく、県外へ進学・就職した若年層にとっても、「帰りたくなる場所」としての魅力がさらに育まれていくと考えられる。


