調査レポート
沖縄県内の第三次産業における県内企業優先利用に向けた検討 ~県内企業優先利用に関する条例化が必要~
― 要 旨 ―
•沖縄県では、外資や本土企業の立地が進み、県内で生じた利益が地域に落ちず県外へ流出してしまう「ザル経済」と言われる経済構造が積年の課題である。その解決の大きな一助となり得るのが、県民による地元企業の優先的な利用である。それが結果として域内循環率を高め、県民の生活水準向上や経済成長へと繋がるためである。
•こうした問題意識を背景に、当社では県内での資金循環率の向上には各産業に応じた取り組みが必要であると考え、これまで製造業、建設業における地元企業優先利用についてそれぞれ調査を実施し、提言を取り纏めた。
•本レポートは、沖縄経済の発展をけん引し続けている第三次産業にフォーカスした調査である。本県における第三次産業は観光産業を中核としつつも業種は幅広く、多くの雇用機会を生み出している。また様々な業種が密接に連関し合っており、第三次産業の生産活動がもたらす沖縄経済への波及効果は大きい。
•これらを踏まえ、マクロ分析により沖縄経済における第三次産業の位置づけを確認した後、事例分析として県内主要企業3社の事業活動による沖縄県への経済波及効果を測定し、地元に本社を置く企業の優位性ならびに沖縄経済への貢献度を定量的に検証した。
•その結果、3社の事業活動による経済効果(2023年度)の合計は1,733億円と試算され、県内GDP(2022年度)の4%相当を占める結果となり、沖縄経済への貢献度の大きさが確認された。
•分析結果を踏まえ、第三次産業における地元企業優先利用の促進に向けた方策として、①沖縄県および主要市町村における県内企業優先利用に関する条例化の検討、②第三次産業における商品・サービスの品質向上の必要性について提言した。
•なお、本レポートは第三次産業にフォーカスした調査であるが、沖縄経済を支えるすべての産業で「地元企業(県産品)優先利用」が推進されるべきであり、沖縄県や主要市町村の首長のリーダーシップのもと条例化の検討が進むことに期待したい。