調査レポート
中東情勢の緊迫化に伴う沖縄県内事業者への影響分析 ~県内469社調査、影響は総じて限定的も一部では顕在化、備えが重要~
( 要 旨 )
・2026年2月28日、米国およびイスラエル両政権はイランに対し軍事行動を実施した。これに伴い、エネルギー輸送の要衝であるホルムズ海峡が封鎖され、原油の供給不足や物価高騰を通じて世界経済に大きな影響を及ぼしている。原油の大半を中東地域からの輸入に頼る日本でもその影響は明らかである。
・こうした状況を踏まえ、当社では中東情勢の緊迫化に対する県内事業者の認識を把握することを目的として、(株)琉球銀行と共同で沖縄県内の事業者469社を対象にアンケート調査を実施し、県内事業者の現状認識と今後の動向、課題の対応について考察した。
・石油精製製品のなかでも、特にナフサの供給不足感が一段と強い。ナフサは多様な製品の原料として広く利用され、産業活動を支える基礎的な役割を担っている。ナフサの供給不足により、資材調達の遅延や工事の進捗遅延など、業務での支障が顕在化している。
・日本では、原油価格の高騰に伴う輸入額の増加を背景にドル需要が高まり、円安が一段と進行している。こうした円安基調の下、観光需要の大きい沖縄県においては、インバウンド需要に加え、海外渡航を控えた国内観光客の獲得が期待される。
・アンケート調査結果によると、中東情勢緊迫化の影響を受けている事業者は7割を超えており、その多くが燃料費や仕入れ価格の上昇といったコスト増加の影響を受けていることが確認された。
・今後の原油価格の推移として、「上昇する」と予想した事業者は7割超となり、先行き不透明感から今後も上昇基調の懸念が示された。
・今後の経営見通しについて、「利益減少は想定されるものの、事業継続に支障はない」との回答が4割となり、マイナスの影響があるも、足元では影響は限定的との見方もある。しかし、先行き不確実性の高まりから、備えを進めようとする動きがみられる。
・当社で毎月実施している景気動向調査では、「消費」「建設」「観光」の各分野とも、現時点の影響は限定的にとどまっている一方で、今後はコスト面を中心に影響が広がる可能性への警戒感は強い。
・沖縄経済は、観光需要を背景とした消費の拡大や民間投資に支えられ、全体として良好な状況が続いている。現時点で過度に懸念する状況ではないものの、今後の環境変化を踏まえ、影響の広がりを冷静に見極めていくことが重要である。
・中東情勢緊迫化の長期化により、エネルギー価格などの上昇が地域経済にさまざまな形で波及する可能性がある。事業者においては、価格転嫁の適切な実施や業務見直しなどを通じて、経営の効率を高めていくことが重要である。また、情報収集を継続しつつ、関係機関と連携しながら、状況に応じた対応を早期に検討していくことが求められる。


