Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県における貸家の需給動向と将来需要推計 ~足元の需給ギャップは縮小、今後は人口減も貸家需要は増加見込み~

≪要旨≫

・令和7年国勢調査(速報値)によると沖縄県の総世帯数は65万1,964世帯(2020年比+6.1%)となり、増加傾向にある。家族類型別にみると60代以上の高齢世帯を中心に「単独世帯」(2020年:37.4%)の増加が著しい。

・本県の住宅数は「民営貸家」がけん引し増加傾向にある。人口流入や景気拡大に伴う着工増、持家需要の低迷などを背景に、貸家率は全国一位(2023年:50.7%)となっている。民営貸家の需要は60代未満の単独世帯がけん引する一方、公営貸家は60代以上の高齢単独世帯やひとり親世帯の需要が高い。一方、貸家着工戸数は地価上昇、投資用不動産向け融資の審査厳格化、新型コロナウイルス感染症拡大等を背景に2019年度以降に大きく減少している。規模別では「31~50㎡」「51~70㎡」が6~7割を占めており、カップルから小規模ファミリー向けの供給が中心となっている。

・2025年10月時点の貸家の需給ギャップを推計したところ、賃貸用空き家を含めると2万272戸の供給超、空き家を除くと8,997世帯の需要超となった。2020から2025年は、新規需要の増加が供給を上回り、増加した需要の一部を空き家が受け皿となる形でギャップ幅が縮小した。また、公営貸家では需要の増加に供給が追い付かずギャップ幅が拡大した。

・市町村別の一般世帯数は「那覇市」が最も多く、世帯数が多い地域ほど民営貸家の割合も高い傾向にある。民営貸家においては多くの市町村で「単独世帯」が5割を超え、離島では特にその傾向が強い。那覇市等では単独向け・カップル向けの住戸は多い一方、ファミリー向けの供給が不足しており、家賃上昇等を背景に他市町村に需要が流出しているとみられる。

・貸家市場の現状として、民営貸家では地価や建築費高騰を背景とした家賃の上昇、高齢の単独世帯や外国人の入居受入れ、空き家のリフォームによる活用促進が課題である。公営貸家では入居率91.4%に対し、応募倍率が7倍以上と需給がひっ迫しており、需給のミスマッチや建物の老朽化、孤独死した入居者の残置物処分などの課題が顕在化している。

・将来の貸家世帯数を推計したところ、今後も増加が見込まれる。民営貸家については根強いファミリー層の需要に加え、高齢世帯を中心に単独世帯の需要が強まるとみられる。また、1990年以前に建築された貸家の建替需要規模は約1.2兆円と見込まれ、こうした築古物件のリフォームや建替えに向けた行政や金融支援の強化等が求められる。

・公営貸家については今後も供給不足の拡大が懸念され、入居条件や住宅規模の見直しによるマッチングの強化が求められる。さらに、老朽化した住宅の建替え工事の推進にあたり、適正な工事価格の設定やPPP/PFIなど民間資力の活用の検討等が求められる。

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