調査レポート
沖縄県内における空き家の現状と課題 ―県内の空き家予備軍は6万9千世帯超、居住段階からの予防的アプローチが必要―
≪ 要 旨 ≫
・少子高齢化の進行や人口減少に伴い、全国的に空き家の増加が課題視されている。総務省の調査によると、2023年時点における全国の空き家数は900万戸と過去最多となり、住宅ストックに占める割合(空き家率)は13.8%と過去最高を更新した。
・沖縄県の状況をみると、空き家率は9.4%と全国水準を下回るものの、実数は1983年からの40 年間で約3倍に増加している。なかでも、空き家問題の核となる「賃貸・売却用や二次的住宅を除く空き家」の増加が顕著である。
・本県は2022年以降人口減少に転じ、高齢化率は2020年の22.6%から2050年には33.6%まで上昇する見込みである。また、一戸建に住む世帯のうち、空き家予備軍となる「一戸建住宅に住む高齢者のみ世帯数」(2023年)は、6万9,600世帯と約3割を占め、今後も空き家の増加が課題視されている。
・県内自治体へのヒアリングでは、空き家の発生要因として、居住者死亡や、相続後に放置されてしまうケース、介護施設等への入所などが挙げられた。また、空き家を放置している理由として、「相続人(子)の他地域への転出」や「どうすればよいか分からない」「先祖代々の家であり自分では判断できない」「体力的・経済的に管理ができていない」などが挙がった。
・沖縄県では、2015年5月に空家法が全面施行されたことを受け、各市町村における空家等対策計画の策定促進を目的に「沖縄県空家等対策モデル計画」を策定している他、実務面をサポートする各種マニュアルを作成し、各市町村における空家対策を後押ししている。
・一方、県内市町村の取組状況をみると、空家対策計画の策定率は31.7%(全国88.5%)、法定協議会設置率は19.5%(同60.5%)に留まっている。沖縄県へのヒアリングによると、未策定の市町村が多く、計画策定にかかる実態調査を含めた総合的なサポートが課題として認識されている。
・空き家対策および利活用の他県事例として、(1)横浜市における官民連携による包括的な空家対策、(2)京都市における空家税導入、(3)空き家を活用したフェーズフリー防災の3つの取り組みを紹介した。
・空き家対策において行政、民間、そして所有者である県民が果たすべき役割として、(1)沖縄県:空き家対策の一層の強化および情報整備、(2)市町村:空家等対策計画の早期策定ならびに先進事例を参考とした取組強化、(3)民間:地域金融機関・不動産・士業等による空き家化予防アプローチ、(4)県民:放置空き家を生まないための住まいの適切な管理の4点について考察した。
・空き家は個人の財産であると同時に、地域の安心・安全な暮らしに影響を及ぼす地域課題でもある。沖縄県、市町村、民間、県民がそれぞれの役割を果たし連携することで、より実効性の高い空き家対策が展開していくことに期待したい。


