Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県のクルーズ船観光の実態分析と今後の展望 ~2025年の経済波及効果は161億円、「フライ&クルーズ」の誘致が消費拡大のカギ~

【要 旨】

・2025年の入域観光客数は過去最高の1,075万人を記録し、クルーズ船の寄港も順調に回復している。一方で、海路入域客の1人当たり消費額は空路客の5分の1以下となっており、消費単価の引き上げが喫緊の課題となっている。

・アンケート調査の結果、沖縄を発着するフライ&クルーズ(F&C)の乗客は前泊・後泊を伴うため、寄港船の2倍以上となる平均33,810円(推計)を消費しており、滞在時間の長さが消費拡大に直結することが明らかになった。

・2025年の沖縄県内における、クルーズ船寄港による経済波及効果は161億円と算出された。特にF&Cは経済波及効果の倍率が1.26倍と高く、県内の幅広い産業へ経済効果が波及する有望な市場であることが裏付けられた。

・クルーズ船の寄港は県内小売業や飲食店の売上を底上げしているが、一部店舗等への送客によって地元資本に資金が十分に落ちない域内消費の漏出が発生している。この構造を是正し、地元へ広く利益を還流させる仕組みづくりが求められる。

・また港湾から観光地への二次交通において、乗務員の高齢化による深刻な人手不足が課題となっている。さらに、無許可で営業する違法な「白タク」の蔓延が地元事業者の収益機会を奪っているだけでなく、事故時の補償等の観点から観光客の安全面でも大きなリスクとなっている。

・経済効果を最大化しつつ、地域への負担を軽減するためには、寄港回数の単なる拡大を図るのではなく、平均消費額が高いプレミアムクラス以上の客船や、経済効果も大きいF&Cの誘致を強化し、また長期滞在や文化体験を好む欧米豪市場へのアプローチを図るべきである。

・受け入れ態勢の強化策として、複数商業施設の連携による共同シャトルバスの運行や、新免税制度にスムーズに対応できるターミナル施設の整備、そして警察等関係機関と連携した白タクの排除など、官民一体となったインフラとルールの整備が急務である。

・「量から質」へと明確にシフトし、クルーズ船の経済効果をさらに高めるためには、本レポートで明らかになった様々な課題の解決と、官民一体となった受入環境の整備が必須である。沖縄ならではの観光資源と県民のホスピタリティを最大限に活用し、持続可能なクルーズ観光モデルを構築することが望まれる。

 

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