調査レポート
沖縄県内の母子世帯および若年妊産婦の貧困の現状 ~ひとりで多数の困難を抱える構造― 今できる改善策と予防的視点の両輪で貧困の連鎖を防ぐ~
≪要旨≫
・沖縄県では貧困に関する様々な指標が全国と比較して高い水準にある。とりわけ20歳未満で妊娠・出産を経験する「若年妊産婦」や「母子世帯」の割合が高いことが特徴的であり、本レポートではこの二つの層に焦点を当てる。
・当県の貧困問題を考えるうえでまず押さえるべき点として、(1)経済構造と雇用環境の特徴、(2)地理的・歴史的要因と社会保障整備の遅れ、(3)高いひとり親世帯の割合と家族構造の変化について確認した。なかでも第二次世界大戦で地上戦となり、戦後長期間米軍統治下におかれた特殊な歴史的要因は、今日に至るまで様々な課題となって影響を及ぼしている。
・各種データから、当県の人口・家族形成に関する特徴が母子世帯の多さとして現れ、同世帯を中心に所得水準が低く、不安定就労や特定の産業に偏った就業構造の影響を受けていることが明らかとなった。加えて、住居費、交通手段、育児サービスの費用が家計に対しより大きな負担を与えるなど、様々な要因が相互に作用し、貧困リスクを一層高める状況が確認された。
・ヒアリングにより、貧困を形成する視点として「当事者の生育環境を背景とした世代間での連鎖」と「子育てと就労、生活基盤の安定を求められる構造」の2つの経路から整理した。また、支援につながれない層の課題と支援者側の負担をまとめた。
・貧困解決に向けた現行の主要施策として、当県のひとり親家庭を対象とする支援事業を紹介する。就労、生活、所得、家族関係といった生活全般が幅広くカバーされているが、支援制度が十分に知られていないことや、現状の経済支援の支給水準では貧困からの脱却が困難であること、「制度の隙間」の存在や若年妊産婦に特化した対策の不足が課題として挙げられた。
・貧困の解決に向けた具体策として、(1)児童扶養手当と連動しない制度設計、(2)住居支援の強化、(3)支援につなげるための取組み、(4)「自己肯定感の欠如」状態への支援、(5)子どもの自己肯定感と社会的接点を育む取組みを挙げた。
・ひとり親世帯の貧困は、当然その子どもにも影響し、さらに十分な貯蓄ができないまま年齢を重ねると、高齢者の貧困に行き着く。貧困は見えにくい形で特定の層に固定化し、長期にわたり継続、連鎖している問題である。その解決は、関連する多くの課題の解消につながると思料する。


