Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県における公共工事の不調・不落の実態調査 ~2050年の建設業就業者数は大幅減の見込み、増加する建築需要とインフラ維持に向け発注体制強化が急務~

≪要旨≫

・沖縄県は2025年に戦後80周年を迎え、本土復帰後に整備された社会インフラは近年著しく老朽化が進んでいる。また、昨今の気候変動や大型地震等の災害リスクに対する懸念から「防災・減災」の観点も重要視されており、安定した生活基盤の維持に向け、インフラの整備・強化が急務となっている。

・建設業は県内経済の成長に大きく貢献しているものの、就業者数は緩やかに減少傾向にあり、高齢化が顕著に進んでいる。また、技術者の有効求人倍率は直近で5倍以上に上り、人手不足が深刻化している。

・沖縄県内の公共工事関連予算は、防衛省関連予算は増加傾向にあるものの、沖縄振興予算は減額傾向にある。公共工事請負金額は、国発注工事がけん引し高水準を維持しているものの、建設コストの上昇を背景に県や市町村発注の工事件数は減少しており、発注側の予算の制約や施工者の人手不足等から需給のミスマッチが生じている。

・2024年度の沖縄県土木建築部発注工事の不調・不落発生率は27.4%となり、比較可能な2012年度以降で最も高くなった。特に離島工事における不調・不落発生率が高く、企業局発注工事においても同様の傾向がみられた。本県の県発注工事の不調・不落発生率は全国で最も高く、島しょ県ならではの人材流動性の制約、発注時期の集中等に伴う人手不足の影響がみられた。

・2020年国勢調査をもとに本県の建設業就業者数の将来推計を試算したところ、2050年は2020年比で約38%減少すると推計された。今後、本土復帰直後の建築物の建替え等による建築需要が増加すると見込まれるも、就業者数の減少や高齢化が加速し、人手不足が更に深刻化することが懸念される。

・公共工事の入札を断念する背景について、建設事業者や業界団体等へのヒアリングでは、「技術者不足」「積算価格と実勢価格の乖離」「離島のコストが積算に反映されていない」などの声があった。

・以上を踏まえ、担い手の確保や適正な工事価格設定、発注体制の強化に向け、「(1)島しょ県の特性を考慮した積算価格への実勢価格の迅速な反映」「(2)最低制限価格の引き上げ」「(3)公共工事発注・管理体制の高度化」「(4)官民連携による建設事業者の人材確保やDX推進にかかる支援強化」の4つを提言する。

 

このページのトップへ