Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県経済2010年の回顧と2011年の展望

要旨

【2010年の回顧】

~ 国内経済は足踏み状態となり、県内経済は下げ止まりの動きとなった ~

○国内経済は、中国などのアジア向け輸出の弱含みと政府の景気対策であるエコカー補助金の終了に伴う反動により企業の生産活動が低下したことから足踏み状態となった。

○県内経済は、建設関連が弱含む中、消費が家電エコポイントなどの政策効果の下支えにより一部に持ち直し動きが続き、観光関連が主に高校総体効果により持ち直したことから、下げ止まりの動きとなった。

○個人消費は、百貨店・スーパー売上高が、全店では前年より若干増加し、食料品や衣料品の単価下落などから既存店では前年を下回った。新車販売はエコカー減税・補助金制度により堅調であり、電気製品卸売販売額はエコポイントにより好調に推移したことから、全体としては弱含みの中に、一部持ち直しの動きがみられた。

○建設関連は、公共工事が政策効果の剥落などから前年を下回り、民間工事も企業の建設投資の減少により前年を下回ったことから、弱含んで推移した。

○観光関連は、主に高校総体効果により入域客数が増加したことから、持ち直した。ホテルは、客室単価が前年を下回ったことから、宿泊収入が減少した。観光施設、ゴルフ場の入場客数は前年を下回った。

○雇用情勢は、失業率は高水準にあるものの求人数は増加した。企業倒産は、景気対応緊急保証制度や中小企業金融円滑化法などにより件数、金額ともに減少した。

【2011年の展望】

~ 国内経済は足踏みが続き、県内経済も足踏み状態となるものの後半には回復基調へ ~

○国内経済は、アジア向け輸出の減速と政府の景気対策効果の剥落・反動などから年前半は景気の踊り場となるものの、年後半はアジア向け輸出の回復などにより持ち直し基調となろう。

○県内経済は、消費が政府の景気対策効果の剥落から弱含み、建設もやや弱含みとなるものの、後半は観光の下支えにより回復に向けた動きとなることが見込まれることから、年を通してみれば足踏み状態となろう。

○個人消費は、エコ関連商品に対する政府の施策が終了することから下支え効果がなくなり、さらに消費者の節約志向も依然として続くものと予想されることから、弱含むとみられる。

○建設関連は、民間工事が企業の建設投資に下げ止まりの動きがみられるものの、予算の漸減により公共工事の減少が予想されることから、全体としてはやや弱含んで推移するものとみられる。

○観光関連は、入域観光客数が国内客を中心に増加し、前年を若干上回る見通し。ホテルは客室単価が回復するまでには、なお時間を要するものとみられる。

 

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