Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

「沖縄県内の在留外国人の動向と行政の多文化共生への取り組み」 ~在留外国人は2万8,519 人(2024 年12 月末推計)と過去最高の見込み、 行政支援の更なる強化が求められる~

( 要 旨 )

・出入国在留管理庁の在留外国人統計によると、2023 年12 月末の沖縄県の在留外国人は2万5,447 人で、前年末比3,655 人(16.8%増)増加した。

・国籍・地域別ではネパールが4,428 人で最も多く、過去最多となった。次いで中国(2,837 人)、米国(2,758人)、ベトナム(2,614 人)、フィリピン(2,587 人)、などの順となった。

・在留資格別では永住者が6,004 人で最も多く、前年末比でも増加した。次いで留学(3,624 人)、技術・人文知識・国際業務(2,818 人)、技能実習(2,811 人)、日本人の配偶者等(2,169 人)、の順となり、留学の増加数が最も大きかった。

・2019 年4月に新たに創設された「特定技能」は、24 年6月末には2,446 人となり、業種別では「飲食料品製造業」(495 人)が最も多く、次に「介護」(491 人)」となり、これまで最多だった「農業」(457 人)を超えた。

・在留外国人はコロナ禍を経て、増加が継続している。当研究所で沖縄県の「推計人口」から24 年12 月末の在留外国人を試算した結果、2万8,519 人と推計され、前年末比で3,072 人程度増加していると見込まれる。

・総務省の「住民基本台帳人口移動報告」で本県における在留外国人の人口移動をみると、入国制限が撤廃され、沖縄県経済も回復基調となった22 年からは「国外からの本県への転入」が増加したことにより、「本県への転入超」が続いているが、県内の語学学校等を経て、県外へ進学・就職する外国人も多く課題である。

・県内では様々な業界で人手不足が課題となっているが、アルバイトも含め外国人労働者が地域経済社会を下支えしている現状があり、生活や雇用環境の整備が急務である。

・2024 年に改正出入国管理法が公布され、技能実習制度にかわり新しい制度である育成就労制度が創設された。外国人労働者の人権を守ることを主眼に改正が実施され、27 年までに施行される。

・多文化共生社会を構築するためには、外国人を丁寧に受け入れ支援することが重要である。先進事例として、行政が積極的に支援活動を行っている群馬県と愛知県の取り組みを紹介した。長期に亘る支援により多文化共生が着実に進んでいるが、新たな課題も生まれており継続的な支援が必要である。

・沖縄県でも多文化共生の重要性への認識が高まっており、2024 年度の万国津梁会議においては「多文化共生社会の構築」がテーマとなり、提言が行われた。同提言をもとに早急な行動が必要である。

・県内の多文化共生・共創社会の早期実現へ向け、(1)沖縄県に外国人支援の専担・統括部署の新設、(2)適正な人材と予算の投入、(3)先進地域(愛知県や群馬県など)に学ぶ、(4)国家戦略特区の活用による規制緩和を提案し、誰もが安心して暮らせる社会を実現するために、沖縄県も積極的な一歩を踏み出すことに期待する。

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