調査レポート
沖縄県経済2009年の回顧と2010年の展望
要旨
【2009年の回顧】
~ 国内経済はやや持ち直し、県内経済は後退を続けた ~
○国内経済は、中国などアジア向け輸出の伸びにより序々に持ち直したものの、企業は余剰設備と雇用を抱えたままで供給超過にあり、雇用・所得環境は厳しい状況が続いた。
○県内経済は、個人消費と建設関連は弱含むなか、政策効果の下支えにより一部に持ち直し動きがみられたものの、観光関連は弱い動きとなったことから、全体として後退を続けた。
○個人消費は、百貨店・スーパー売上高が、全店では前年とほぼ同水準となり、食料品や衣料品の単価下落などから既存店では前年を下回った。新車販売はかなり弱い動きだったものの、電気製品卸売販売額は堅調だったことから、全体としては弱含みのなか、一部で持ち直しの動きがみられた。
○建設関連は、民間工事が企業の建設投資意欲の低下により年後半にかけて弱含んだものの、公共工事が政策効果から持ち直すなど、全体では弱含みのなか、一部で持ち直しの動きがみられた。
○観光関連は、国内景気後退などの影響を受け、入域客数が大幅に減少したことから弱い動きとなった。ホテルは、客室数の増加によって競争が激化しているなか、観光客数の減少によって販売客室数が減少したことから、稼働状況が悪化した。観光施設、ゴルフ場の入場客数も前年を下回った。
○雇用情勢は、求人数が減少したことに加えて、求職者数が増加したことなどから失業率は悪化した。企業倒産は、国や県、市町村などの金融支援などにより件数、金額ともに減少した。
【2010年の展望】
~ 国内経済は緩やかな回復がみられるものの、県内経済は低い水準での横ばいが続く ~
○国内経済は、引き続き中国などアジア向け輸出に支えられ緩やかな回復が続くとみられるものの、デフレ状況が続き、雇用・所得環境も引き続き厳しい状況が続くものとみられる。
○県内経済は、自律回復になお時間を要す国内経済の影響を受け続けるものとみられ、低い水準での横ばいが続くものとみられる。
○個人消費は、デフレ基調にあるものの、政府の施策による下支えが期待できることから、前年同様の低い水準での横ばいのなか、一部に持ち直しの動きがみられよう。
○建設関連は、公共工事が新政権の公共事業削減の方針により減少し、民間工事も企業の建設投資意欲の低下から弱含んで推移するものとみられ、全体としても弱含んで推移するものとみられる。
○観光関連は、入域観光客数が国内客を中心にほぼ前年並みの低い水準で推移し、ホテルは新規開業による客室増によって稼働状況のさらなる悪化が懸念されることから、さらに弱い動きとなろう。
2010年01月 |
![]() | 沖縄県経済2009年の回顧と2010年の展望 | |
![]() |
PDF全文 |