Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県内の自動車販売業について

要旨

○自動車販売業の置かれている状況をみると、本県は20歳以上の人口1人当たりの自家用車保有台数は0.64人(全国平均0.55人、47都道府県中22位)、免許取得人数は0.79人(同0.74人、同12位)であることから、本県は自動車への依存度が高い社会と言える。

○自動車販売業において、2007年の本県の販売効率(1事業所当たりの年間販売額167.5百万円、1従業員当たりの年間販売額26.3百万円)は全国(1事業所279.2百万円、1従業員33.5百万円)を下回っている。しかし04年と07年の販売効率を比較すると、全国は低下しているのに対し本県は上昇しており、販売効率には改善傾向がみられる。

○自家用車保有台数をみると、本県、全国ともに98~07年まで順調に増加を続けているが、06年から伸びが鈍化しており一服感がみられる。保有台数の車種別の構成比(07年)は、本県は普通乗用車16.6%、小型乗用車38.7%、軽乗用車44.6%、全国は普通29.1%、小型43.2%、軽27.6%となっている。本県、全国ともに小型の構成比が低下し、軽の構成比が上昇しているが、本県は特にその傾向が顕著である。

○新中比率(新車販売台数に対して中古車販売台数が何倍であるかを示す)をみると、全国はほぼ一定であるのに対し、本県は98~07年の間にほぼ半減している。しかし新中比率(07年)は、本県284%、全国127%となっており、依然として全国よりも本県の新中比率が高い。本県の新中比率が高い要因の1つとしては、所得の低さが挙げられる。

○自動車販売台数をみると、本県の新車販売台数(07年)は37,384台(98年と07年の差+16,910台)と増加しており、中古車販売台数(07年)は106,151台(同 ▲20,042台)と減少していることから、本県の需要が中古車から新車へと移ってきていることがわかる。しかし08年以降、ガソリン価格の高騰や金融危機による国内景気の悪化などにより、本県の自動車販売台数は大幅な減少に転じている。足元の09年3月の新車販売台数は前年比▲30.6%と大幅に減少し、中古車販売台数は同6.3%と増加していることから、中古車に比べ新車の方が国内景気の悪化の影響をより受けていることがわかる。

○08年終盤の国内景気の悪化により、本県の新車販売業は厳しい経営環境に直面している。一方、中古車販売台数の足元は増加に転じるなど上向いているが、新車販売台数の減少が続くと中古車の供給が減少することにより、中古車販売業の経営環境も新車同様厳しいものとなることが懸念される。よって新車、中古車ともに業者間の競争激化や販売効率の低下などが懸念される。

○本県、全国の自動車販売業にとって厳しい状況が続いているが、09年4月からスタートした環境対応車向けの減税措置と補助金制度がカンフル剤となって、新車、中古車販売市場ともに活性化されることを期待する。また、本県は総人口に占める20歳未満の割合が全国で最も高く、これから自動車を購入する潜在層が多く存在すると考えられる。近い将来、この潜在層が市場に加わることも販売市場の回復に繋がることを期待したい。

 

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