Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県内における2009年プロ野球春季キャンプの経済効果

要旨

○2009年2月に沖縄県内で春季キャンプを実施した国内のプロ野球球団は、全12球団中9球団となり、沖縄県は引き続き国内随一のプロ野球キャンプ地としての地位を維持した。

○キャンプ期間中の観客数は、球団広報などの発表によると約24万2,000人(オープン戦含む)となり、前年(26万5,000人)を約2万3,000人下回った。

○また、キャンプ期間中の県外からの滞在者は、当社の試算によると、選手、球団関係者が約1,000人、報道関係者・解説者が約2,400人、県外からの観客が約2万7,900人となり、合計で約3万1,300人と推察され、前年(約3万2,950人)を約1,650人下回った。

○県外からの滞在者及び県民のキャンプ関連支出額(直接支出額)は、約37億4,000万円(前年約41億100万円)と推計され、キャンプ後半に宮崎県で行われたワールドベースボールクラシック(WBC)日本代表合宿の影響や国内の景気後退による県外客の減少により観客が前年を下回り、主な関連支出項目である宿泊費、飲食費等の減少や練習施設等の整備費の減少などから前年を下回った。主な内訳をみると、宿泊費が10億700万円と最も多く、次いで飲食費7億6,700万円、土産品購入5億8,700万円などとなっている。

○波及効果を含めた経済効果について、沖縄県産業連関表により試算した結果、経済効果は約57億600万円となり、キャンプ関連の直接支出額(約37億4,000万円)に対して約1.5倍の波及効果となっている。産業別に多い方からみると、宿泊業10億900万円、製造業7億2,300万円、飲食店6億2,700万円の順となった。

○今年のキャンプの経済効果は、前年のキャンプ効果(約62億7,400万円)を約5億6,800万円下回った。減少要因として、前述したように観客数の減少や練習施設の整備費の減少などが挙げられる。

○一方、2011年には那覇市で巨人軍の春季キャンプが決定しており、今後、更なる経済効果が期待される。

○キャンプの課題としては、老朽化した施設の建替えや改修、キャンプをサポートする要員の不足などがあるものの、各市町村ともに厳しい財政事情から充分に応えられないのが現状である。これらのことを補うためにも、今後、一人でも多くの県民がキャンプに出向くなどしてキャンプを盛り上げていくことが必要である。

 

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