Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

ガソリンスタンド(サービスステーション)業界の動向

要旨

○ガソリンの流通経路は、元売りから特約店などを通してガソリンスタンド(以下、SS)で販売するのが、大半を占めているが、近年は元売りの系列に属さないプライベートブランド(PB)のSSが増加傾向にある。

○ガソリン価格は高騰が続いており、一部の利用者で買い控えの動きもみられるほか、洗車、オイル交換等の油外売上も伸び悩んでいる。

○SS数は、全国、沖縄県ともに減少傾向にある。県内の場合、1996年3月末のSS数は468カ所あったが、06年3月末には400カ所となっている。減少の要因としては、長年続いた安値乱売による採算の悪化により、倒産や廃業が相次いで発生したことが挙げられる。

○全国のSSの経営実態調査(全国石油協会が2004年に実施)によると、約4割が赤字であると回答した。一方、10カ所以上を所有するSSの大方は黒字となっており、スケールメリットを生かした経営により収益状況は比較的良い。

○SS数が減少傾向にある中、セルフサービススタンド(以下、セルフ)は、全国、県内ともに増加傾向にある。県内のセルフ数は、06年3月末で20カ所と全国では最も少ない。ただ、計画中のセルフはいくつかあるなど、今後も増加傾向は続くものと思われる。

○ガソリン価格の高騰などにより、油外売上は伸び悩んでいることから、車整備、車検などのカーメンテナンスを行うサービス拡大型のSSやコンビニエンスストア、ファーストフードなどの店舗併設型により新たな収益基盤の拡大に取り組むSSが増加している。

○一方で、SSの経営に見切りをつけ、コンビニエンスストアなどの別業種へ転換する事例もみられる。別業種への転換の時期として、設備の老朽化が多い。設備を更新しても、投下した資金に見合うだけの収益を上げられにくくなっているのが要因である。

○県内SSの課題に、適正なガソリンマージンの確保や復帰特別措置の適用による揮発油税軽減措置の期限切れ(2007年5月)が挙げられる。

○SSを取り巻く環境をみてみると、国内の2005年度のガソリン販売量は前年度比0.1%減と21年ぶりに減少した。人口減少による乗用車保有台数の鈍化や燃費の向上などが要因として挙げられる。一方、県内における05年度のガソリン需要は、前年度比1.9%増と概ね堅調に推移したものの、将来的には全国と同様に需要の鈍化が予想される。

○県内SSは長年の安値乱売による企業体力の疲弊から廃業など店舗数の減少傾向がみられる一方で、安定した収益を上げてきたSSの存在もあり、二極化がより進んでいくものと思われる。

○このように、SS業界を取り巻く環境は厳しさを増しており、以前の安値乱売が発生しないような適正価格の確保や経費削減の徹底が必要である。また、カーケアや異業種の店舗併設などにより油外での収益基盤の拡充を図っていくことも求められる。

 

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