Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

法改正により厳しい経営環境に直面する県内介護施設事業者

要旨

(居住費と食事費の自己負担化と基本食事サービス費の廃止の影響)

○2005年10月より開始された介護保険施設における居住費と食事費の自己負担化と施設へ給付されていた基本食事サービス費の廃止は、利用者と同様、施設側にも大きな痛手となっている。

○各介護保険施設は、種々の対応策により基本食事サービス費の廃止による影響の軽減に注力しているが、当室が実施した介護保険施設に対するアンケート調査の結果によると、最も多い回答で3~4%の減収が避けられない見通しである。

○介護保険施設を利用する際のコストが増大したことにより民間の介護付き有料老人ホームの参入が促進されるという見方があるが、県内においては、利用負担の最も増大する所得段階(第4段階)の高齢者の割合とユニット型個室の割合が全国に比べ少ないことから、民間ホームの参入は限定的なものとなろう。

(介護保険施設の将来像)

○国は、将来的に現在の介護保険施設を「生活重視型」か「在宅復帰支援型」の二つに集約する方針を打ち出していることから、今後、介護保険施設はいずれを選択するかの重要な経営判断を迫られることになった。

○また、国は生活重視型についてはユニット型個室を基本とするという方針であり、今後生活重視型を志向する施設(特に特別養護老人ホーム)は、個室化のための施設の増改築への対応が必要となる。今回の介護報酬改定において多床室が減算される予定であり、国の個室への誘導姿勢が色濃くなっている。

○介護老人保健施設については、今後、これまで通りリハビリに注力し在宅復帰支援型でいくのか、あるいは生活重視型かを選択する必要がある。

 

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