Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県経済の2005年の回顧と2006年の展望

要旨

【2005年の回顧】

~ 国内経済は踊り場を脱し回復軌道に戻り、県内経済は観光部門が牽引し回復基調が続いた ~

○国内経済は、IT部門の在庫調整の進捗やアジア向け輸出の持ち直しなどから、年央には前年の後半以降続いていた踊り場局面を脱し、設備投資の増加や個人消費の堅調さなどにより再び回復軌道に戻った。

○県内経済は、建設関連では概ね横ばいとなったものの、観光関連が好調に推移して県内景気を牽引したほか、個人消費も底堅く推移したことから、総じてみると回復基調が続いた。

○個人消費は、百貨店・スーパー売上高(全店ベース)が前年を上回り、新車販売台数も軽自動車を中心に好調に推移し、電気製品卸売販売も量販店向け出荷やデジタル家電需要により堅調となるなど底堅く推移した。

○建設関連は、公共工事は引き続き減少したものの、民間工事は住宅建設が貸家の増加を主因に堅調に推移し、非居住用建設はホテル、医療施設等が増加したが全体では弱含み、総じてみると横ばいで推移した。

○観光関連は、沖縄ブームの継続や海外での諸リスクの懸念に対しての沖縄観光への需要の高まり、航空提供座席数や宿泊施設の増加等による受け入れ能力の拡大などから過去最高の入域客数となり好調に推移した。

○雇用情勢は、求人数が増加し、雇用者数も増加するなど全体として改善の動きがみられたが、完全失業率は労働力人口も人口の増加や景気の回復を映じて増加したことからほぼ同水準で推移した。

○企業倒産は、件数が1975年の調査開始以来最少となったが、負債総額は大型倒産により大幅増となった。

【2006年の展望】

~ 国内経済は民間需要を中心に緩やかに回復し、県内経済も観光部門を軸に回復基調続く~

○国内経済は、企業部門と家計部門の好循環の動きがでてきていることから、緩やかながら回復が続こう。

○県内経済は、公共工事の減少や定率減税の縮減など税財政面からの影響が懸念されるものの、全国的な景気回復や観光部門の好調な推移、雇用面の改善傾向などにより、基調として回復の動きが続こう。

○個人消費は、底堅く推移しよう。所得環境は、定率減税の縮減や社会保険等の負担増が懸念されるものの、雇用・賃金面での改善傾向や人口・世帯数の増加などがプラスに作用しよう。

○建設関連は、全体として弱含みで推移することが予想される。住宅建設は世帯数が高い伸びを続けており、貸家、分譲住宅を中心に底堅いものの、公共工事の減少基調が続くことから、市場全体としては弱含みとなろう。

○観光関連は引き続き好調に推移することが予想される。沖縄ブームの持続や国内景気の回復傾向、海外の諸リスクと比較した場合の旅行地としての安全性、航空便の提供座席数やホテルの増加などがプラス材料となる。

【県経済の課題】

○県経済の課題としては、供給過剰にある建設業の構造改革や観光産業における観光収入の増加を図るための施策の推進、県産品の品質向上や情報発信力強化等による地域ブランドとしての確立、情報通信産業の高付加価値部門における人材の育成、行財政部門の構造改革や効率化などが挙げられる。

 

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