調査レポート
沖縄県内のマリンレジャー業界の現状と課題
≪要旨≫
・沖縄県において、近年、観光客のマリンレジャー中の水難事故件数の高止まりや事業者の増加、悪質業者による消費者トラブルなどが問題視されており、沖縄観光の健全な発展をはかる上で課題となっている。
・2022年度の沖縄への観光客のうち活動内容として「海水浴・マリンレジャー」をおこなったと回答した人の割合は、国内客では32.5%、外国客(空路)では14.0%となった。また、「ダイビング」と回答した人の割合は、国内客では7.8%、外国客(空路)では7.4%となった。さらに、各活動内容の割合を比較すると、国内客の「海水浴・マリンレジャー」の割合は「ショッピング」よりも高く、特に国内客においてその需要が高く、マリンレジャーが沖縄観光の重要なコンテンツであることがわかる。
・2022年度のマリンレジャー業界の市場規模を推計した結果、約134億円となることがわかった。マリンレジャーは例年安定した観光客需要があり、観光振興基本計画や港湾整備計画において沖縄のソフトパワーを活かした国際的な物流・交流拠点としての発展に向け、重要な産業であることがわかる。
・マリンレジャー事業の水上安全条例の事業届出件数は、その参入障壁の低さから年々増加しており、2024年5月時点で3,758件となった。そのうち「安全対策優良海域レジャー提供業者(マル優事業者)」の指定件数は、2024年6月時点では109件と約3%に留まり、マル優制度の周知・普及が課題となっている。
・沖縄県における水難事故の発生件数および死者数は年々増加傾向にあり、2023年はいずれも過去最多となった。また、水難事故の種類はスノーケリングが最も多く、これにダイビングやカヤック、カヌーを加えたマリンレジャーの水難事故の割合は全体の約4割以上となった。水難事故防止に向け、マリンレジャー事故防止調査対策事業(沖縄県)や観光客への啓発活動、水難事故防止運動等がおこなわれている。
・マリンレジャー関連団体や事業者からのヒアリング調査、利用者からの苦情事例の確認の結果、「マリンレジャー事業の規制強化」や「悪質業者への指導強化」、「水難事故防止に向けた観光客や県民への啓発」等が課題として挙がった。
・上記の課題を踏まえ、マリンレジャー業界の健全化に向けた対応策として「マリンレジャー事業の届出制から許可制への移行」、「事業者団体のガバナンス体制の強化」、「水難事故防止に向けた行政や関連団体の継続的な取組み強化」、「マリンレジャー業界の発展に向けた行政支援や整備計画の検討」を提言する。
2024年09月 |
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