調査レポート
沖縄県内におけるバス・タクシー運転手不足の現状と課題解決に向けた検討 ―深刻な運転手不足、全県民が危機感を共有し対応する必要性―
( 要 旨 )
〇沖縄県内では、バスやタクシーの運転手不足を背景に、地域における移動手段の確保が課題となっている。コロナ禍を経て社会経済活動が活発化し、県内各産業で人手不足が深刻化するなか、「自動車運転従事者」の有効求人倍率は2.24倍(2024年7月)と全産業 (0.96倍)を大きく上回っている。
〇バス運転者数の推移をみると、2022年度は1,641人と過去最低となった。また、大型二種運転免許保有者の年齢構成比をみると、60歳以上の割合が61.8%を占める。ヒアリングでは、バスの安定的な運送を維持していくためには、公共交通の更なる利用促進を図り、運輸収入の増加ならびに運転手の処遇改善へとつながる好循環の実現を望む声が挙がった。
〇タクシー運転者数の推移をみると、2009年度の1万41人をピークに減少の一途を辿り、21年度には5,246人と09年度からおおよそ半減した。また、タクシー運転手の年齢構成比をみると60歳以上の割合が78.1%を占めており、高齢化が顕著である。
〇こうした状況のなか、労働基準法改正(2024年問題)への対応においては、県内路線バスでは減便を含む路線の見直しが実施されるなど、地域の足に影響が生じた。一方、運転手不足解消を目的とした二種免許取得要件の規制緩和や、「日本版ライドシェア」を含む規制緩和は公共交通を補完する新たなサービスとして期待が寄せられている。
〇バス・タクシー業界に関する現状分析やヒアリングを踏まえ、運転手不足解消に向けた課題として(1)担い手の確保、(2)二種免許取得・育成体制の構築、(3)公共交通の利用促進の3つの課題について整理した。
〇また、これらの課題に対し取り組むべきこととして①職業としての魅力向上に向けた取り組み強化、②外国人の雇用促進・受入れ体制整備、③二種免許取得支援の継続、④職業訓練校における二種免許取得コース創設、⑤バスレーン規制の区間および時間帯拡充の5項目について提言した。