Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県内における2005年プロ野球春季キャンプの経済効果

要旨

○2005年2月に県内で春季キャンプを実施した国内のプロ野球球団は、前年までの日本ハム、広島、中日、横浜、オリックス、ヤクルト、阪神の7球団に、半世紀ぶりに誕生した新球団の楽天が加わり8球団となった。1979年に日本ハムファイターズ(現:北海道日本ハムファイターズ)が初めて名護市で投手陣のみのキャンプを実施し、現在では全球団の3分の2が県内でキャンプを実施していることになる。

○キャンプ期間中の見学客数は、球団広報などの公表によると13万9,400人となり、キャンプ後半の天候不順による練習試合やオープン戦の一部中止などの影響から、前年(23万9,700人)を大幅に下回った。また、キャンプ期間中の県外からの滞在者は、当室の試算によると、選手、球団関係者が約800人、報道関係者・解説者が約3,000人、県外からの観客が約2万500人、合計で約2万4,300人と推測される。

○県外からの滞在者および県民のキャンプ関連支出額(直接支出額)は、総額で約31億2,900万円と推計される。主な内訳をみると、宿泊費が約8億8,900万円で最も大きく、次いで飲食費(約6億2,800万円)、土産品購入(約4億3,500万円)、練習施設等の整備費(約3億2,700万円)、娯楽レジャー(約2億9,900万円)、交通費(約2億7,600万円)の順となった。前年と比較すると練習施設等の整備費が大幅に増加しているが、これは、久米島町の楽天キャンプ誘致に伴う球場改修費等(約2億4,000万円)によるものである。一方、飲食費や土産品購入、娯楽レジャー、交通費等は前年より若干減少しており、今春キャンプ後半の天候不順による地元見学客等の大幅減少などが影響したものとみられる。

○波及効果を含めた経済効果について、県の産業連関表により試算した結果、生産誘発額はキャンプ関連支出による直接効果も含め、総合効果で約47億9,000万円となり、これがいわゆる県内におけるプロ野球春季キャンプの経済効果となる。キャンプ関連の直接支出額(約31億2,900万円)に対する波及効果は約1.5倍となっている。産業別の生産誘発額は、宿泊業が約8億9,200万円で最も大きく、次いで鉱業・製造業(約5億9,200万円)、飲食店(約5億1,500万円)、建設業(約3億5,500万円)の順となった。

○当室では、前年の春季キャンプの経済効果を約43億4,200万円と試算した。今春のキャンプでは前年の約1.1倍となったが、これは前述のように、主に楽天キャンプ誘致に伴う球場改修費などによるものであり、この要因を除くと、概ね前年並みの水準にとどまる。今回のキャンプでは、1球団増えたものの、キャンプ後半の天候不順による地元見学客等の減少などが影響したものとみられる。

○プロ野球キャンプは、経済効果やPR効果、青少年への教育効果が大きいことから、他県においてもキャンプの誘致活動を進めており、今後、本県がキャンプを定着させていくためにも、県や観光関連団体が受入地との連携を強化し、また県都・那覇市においても沖縄の玄関口としてキャンプを盛り上げるような工夫を検討していく必要があろう。

 

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