Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県経済の2004年の回顧と2005年の展望

要旨

【2004年の回顧】

~ 国内経済は後半に減速感がみられ、県内経済も後半、回復の動きに一服感がみられた ~

○国内経済は、年初に輸出や設備投資の増加、個人消費の回復がみられ堅調に推移したが、後半は海外景気の鈍化に伴う情報技術(IT)関連の在庫調整や設備投資の鈍化などから減速感がみられた。

○県内経済は、建設関連では厳しい状況がみられたものの、堅調な観光と底堅い個人消費に支えられ、概ね回復の動きがみられた。しかし、後半には相次ぐ台風接近の影響などから回復基調の中で一服感がみられた。

○個人消費は、大型新設店の出店効果の継続などから百貨店・スーパー売上高(全店ベース)が前年を上回り、新車販売台数も堅調さを持続するなど、底堅く推移した。

○建設関連は、民間の非居住用建設投資が底堅く推移したものの、公共工事が減少基調を続け、住宅建設も貸家を中心に弱含むなど、総じてみると厳しい状況で推移した。

○観光関連は、旅行の国内シフトの継続や沖縄ブームにより年前半は好調に推移したものの、後半には過去最多の台風襲来の影響から伸び悩んだ。

○雇用情勢は、求人数が増加したものの、完全失業率はほぼ同水準で推移した。企業の雇用過剰感は概ね改善傾向がみられた。

○企業倒産は、企業倒産は、件数が過去最少の水準に並び、負債総額も前年を下回った。

【2005年の展望】

~ 国内経済は足踏みから後半には再び回復に、県内経済は緩やかな回復から後半には調整局面も~

○国内経済は、世界経済の回復から輸出や生産が持ち直し、後半には踊り場を脱して回復すると見込まれる。

○県内経済は、観光関連が引き続き牽引し、個人消費も概ね底堅く推移することが予想されるため、緩やかな回復が見込まれるが、建設関連で厳しい状況が続き、後半には調整局面も予想される。

○個人消費は、概ね底堅く推移しよう。所得環境の大幅な改善は期待できないものの、人口、世帯数の増加などがプラス要因となる。ただし、後半は税・社会保険負担の増加などが影響し、消費マインドは慎重となろう。

○建設関連は、引き続き厳しい状況が予想される。民間部門の建設投資が大型物件の一服から弱含みとなることが予想されるほか、公共工事の減少が続き、住宅建設も貸家を中心に弱含みで推移することが見込まれる。

○観光関連は前年を上回る見込みである。沖縄ブームの持続やプロ野球新球団「楽天」の県内キャンプ、空港外免税店(DFS)開業、IDB総会開催、世界ブランドのリゾートホテルの開業などにより沖縄観光の魅力が高まる。

【県経済の課題】

○県経済の課題としては、三位一体改革に伴う建設業の構造転換や観光産業の高付加価値化および関連産業との連携強化による経済効果の拡大、県産品の品質表示等への取り組み強化、情報通信産業におけるソフト開発やコンテンツ制作など高付加価値部門の拡充、行財政部門の健全化や効率化などが挙げられる。

 

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