Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

宿泊特化型ホテルの最近の動向について

要旨

①宿泊特化型ホテルの特徴と全国的な伸張

・宿泊特化型ホテルとは、レストランや宴会場を持たず、自動チェックインシステムを採用するなど宿泊機能に特化し、ビジネス客を主な顧客とするホテルである。

・ルートインや東横インといった宿泊特化型ホテル大手は1980年代中盤から出店を始め、土地建物賃借方式で全国に傘下のチェーンホテルを増加させている。

・その後スーパーホテルやハイパーホテルといった同業態のホテルチェーンの参入が相次ぎ、JALホテルズなどの大手もホテルJALシティといった宿泊特化型の第2ブランドで市場に参入している。

②県内の動向

・全国チェーンとしてはスーパーホテル那覇が97年に県内に初進出した後、ルートイン那覇、ハイパーホテル那覇、東横イン那覇美栄橋駅と出店が続いている。今後大手ホテルの第2ブランドであるJALシティがオープンの予定である。

・地元企業も自ら宿泊特化型ホテルの運営に乗り出している。自前の土地に加え、新たに手当てした土地に複数出店する企業も出ている。

・  県内の宿泊特化型ホテルの増加の要因としては、ビジネス目的の入込客の増加、出張費の削減、大手宿泊特化型ホテルチェーンの出店競争の本県への波及、那覇新都心などの開発やモノレールの開通による好立地場所の出現、などがある。

③課題

・那覇市内に出店が集中しており、供給過剰感が出てきている。この先、入域観光客数の伸びが鈍化または減少となれば、稼働率の低下から宿泊料金の値下げ競争が起こり、宿泊特化型ホテルや近隣既存ホテルの収益性が低下する懸念がある。

・調査先の宿泊特化型ホテルの客室稼働率が今年1~8月に前年同期比7.4ポイント低下しており、供給過剰感を裏付けている(入域観光客数は同3%増)。

④今後の展開

・全国では米国のモーテルを模した郊外型の宿泊特化型ホテルが増加している。県内でも現在の市内立地型に加え、リゾート客を狙った郊外立地型の展開が予想される。

・また、首都圏では老朽化したホテルをリニューアルし、"リノベーションホテル"というコンセプトで再生し成功する例があり、提案次第では減価償却を終えた那覇市内のビジネスホテルや観光ホテルの再活性化の可能性が出てこよう。

 

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