Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県におけるスポーツツーリズムの実態調査

≪要旨≫

・沖縄県はスポーツ推進計画のアウター施策の一環として「スポーツツーリズムの推進」を掲げている。2019年度まではスポーツ大会などの件数増加に伴い、国内入域観光客数に占めるスポーツ関連目的旅行者の割合も増加傾向にあったが、2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け大きく減少した。今後、旅行者の増加が見込まれる中、スポーツを通じた地域・経済のさらなる活性化のため、スポーツを取り巻く環境の変化に対応した戦略的なスポーツツーリズムの誘客促進策の検討が求められる。

・OCVBにて、2023年11月から2024年1月にかけて、県外からの参加が多い4つのスポーツ大会(Bリーグ、ツール・ド・おきなわ、石垣島マラソン、NAHAマラソン)の県外(国内・海外)からの来場者を対象にアンケート調査を実施した。その集計結果をもとに、調査対象の大会を「観るスポーツ」、「するスポーツ」にて大別し、来場者の属性・旅行内容・消費額について当社にて比較と分析をおこなった。また、アンケートの総費用(渡航代含む)にかかる回答と県外からの参加者数をもとに各大会における直接支出額を試算した。その結果、NAHAマラソンの直接支出額は約5.6億円~7.6億円となり、大会別では最も高くなることが推計された。また、一人当たりの平均直接支出額はツール・ド・おきなわが約11万円となり、大会別では最も高くなることが推計された。直接支出額への貢献度が高い属性について、観るスポーツにおいては「30代の女性」、するスポーツについては「50代の男性」が最も多く、アンケート調査結果における来場者数が最多の属性と一致し、それぞれ貢献度が高いことが推測される。

・これらの結果から、スポーツツーリズムの誘客にあたり、来場者数の増加及び質の向上、消費額の増加が課題であることがわかった。来場者数の増加を図る上で、観るスポーツとするスポーツでは、来場者の年代も異なることから、ターゲット層にリーチする戦略的なプロモーションが求められるほか、本県へのスポーツツーリズムでの誘客を図る上で地域・観光拠点となるスポーツ関連施設の整備・充実化も必要となる。また、各大会とも一人あたりの平均直接支出額は一般観光と比較して低くなることが推測される結果となったが、県外からの来場者の7割程は大会前後で一般観光を行っている事から、会場周辺の飲食・観光情報の発信の強化だけでなく、沖縄全体を周遊させるコンテンツ造成の検討が求められる。

 

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