Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県内におけるプロ野球春季キャンプの経済効果

要旨

〇2004年2月のプロ野球春季キャンプでは、前年と同様、セ・パ12球団のうち7球団が沖縄県内に集結した。今回は、前年セ・リーグ優勝の阪神がキャンプ期間を延長したほか、大リーグから帰ってきた新庄選手や佐々木投手など話題が豊富なキャンプとなった。

〇キャンプ期間中の県外からの滞在者は、当室の試算によると、選手、球団関係者が約7百人、報道関係者・解説者が約2千8百人、県外からの観客が約2万1千人、合計で約2万4千5百人と推測される。

〇県外からの滞在者および県民のキャンプ関連支出額(直接支出額)は、総額で約29億4百万円と推計される。主な内訳をみると、宿泊費が約8億4千万円で最も大きく、次いで飲食費(約6億4千万円)、土産品購入(約4億8千万円)、交通費(約3億3千万円)、娯楽レジャー(約3億1千万円)の順となった。また、キャンプに付随する支出としては練習施設等の整備費(約7千万円)やクリーニング代(約6千万円)、アルバイトへの支払い(約4千万円)等の順となった。

〇このようなキャンプ関連の支出は、宿泊、飲食、運輸業等の産業だけでなく、これらの産業に原材料・サービス等を提供している関連産業の売上増加や雇用者所得の増加による消費の増加を通して、次々に他の関連産業に波及していく。

〇この波及効果も含めた経済効果については、県の95年産業連関表を用いて試算した。産業連関表については、当室で本調査の分析用に県の90部門表を52部門に組み替え、かつ一部観光関連産業の自給率を設定し直した上で用いた。

〇この産業連関表により経済効果を試算した結果、生産誘発額はキャンプ関連支出による直接効果も含め、総合効果で約43億4千万円となり、これがいわゆる県内におけるプロ野球春季キャンプの経済効果となる。キャンプ関連の直接支出額(約29億4百万円)に対する波及効果は約1.5倍となっている。産業別の生産誘発額は、宿泊業が約8億4千万円で最も大きく、次いで鉱業・製造業(約5億7千万円)、飲食店(約5億3千万円)、娯楽サービス業(約3億9千万円)の順となった。

〇当室では、前年の春季キャンプの経済効果を約億1千万円と試算した。今回の試算結果は約1.4倍となっているが、この主な要因としては阪神の前年のセ・リーグ優勝やキャンプ期間の延長の効果および話題の選手、監督が県内でキャンプを実施したことなどが挙げられる。

〇今後、経済効果を更に高めていくためには、県全体としてキャンプを盛り上げていく支援体制の強化を図るとともに、個別企業、団体等による関連商品の発売、応援事業の企画、キャンプ地情報の日毎の更新、物産展やイベントの同時開催、キャンプ地周辺の観光マップ配布などのほか、マスコミに対するPRのための仕掛け作りを積極的に増やす必要がある。

 

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