Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県経済の2002年の回顧と2003年の展望

要旨

【2002年の回顧】

国内経済は年央にかけて底入れ、県内経済は概ね持ち直しの動き

○国内経済は、輸出の増加等により年央にかけて底入れした後、個人消費の底堅い動き等により全体に持ち直しの動きがみられたが、年終盤にかけては、輸出が弱含み、生産も横ばいとなるなど持ち直しの動きが弱まった。  

○県内経済は、建設関連が弱含みで推移したものの、底堅い個人消費と堅調さを取り戻した観光に支えられ、概ね持ち直しの動きとなった。

○個人消費は、大型小売店売上高、新車販売台数が引き続き堅調に推移するなど、底堅く推移した。

○建設関連は、公共工事が年前半で大きく減少し、民間建設投資も前年を下回る見込みとなるなど弱含みで推移したが、後半にかけては持ち直しの動きがみられた。

○観光関連は、米国テロ後の誘客キャンペーンにより、年初には入域観光客数が急回復し、年央には全般に持ち直しの動きとなり、終盤にかけては堅調な地合いとなった。

○雇用情勢は、完全失業率が過去最悪の水準で推移するなど厳しい状況が続いたが、求人数の増加により労働需給には改善もみられた。

○企業倒産は、件数は2年連続の前年比減少となり、負債総額も前年を大幅に下回った。

【2003年の展望】

~ 国内経済は低成長となるも、県内経済は底堅く推移する見通し ~

○国内経済は、米国景気の減速により外需の伸びが弱まるほか、内需についても企業のリストラ継続による雇用・所得環境悪化により個人消費が低い伸びとなるなど、成長率は前年を下回る見通し。

○県内経済は、建設関連は前年を若干下回るものの、堅調な個人消費と観光関連に支えられ、底堅く推移するものと思われる。

○個人消費は、底堅く推移しよう。所得環境には懸念材料もあるが、相次ぎ予定される大型小売店の新設や都市モノレールの開通は消費マインドを高めよう。

○建設関連は、前年を若干下回って推移しよう。公共投資は建設需要を下支えする一方、住宅投資は所得・雇用環境の不透明感から持家建設が引き続き低調となるほか、貸家建設の鈍化も予想される。

○観光関連は堅調に推移しよう。新水族館やアウトレットモール等新しい誘客の仕掛けも整い、入域観光客数は過去最高となった前年をさらに上回り490万人程度となろう。

【県経済の課題】

○県経済の課題としては、産学官連携の強化や人材育成等雇用のミスマッチ対策、情報・金融特区等の活用促進、観光の高付加価値化、長寿県ブランドの再構築、都市モノレールの活用及び交通体系の再編等が挙げられよう。

 

このページのトップへ