Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

新・りゅうぎん景気動向指数の作成および県内景気基準日付(山、谷)の設定

要旨

○当行では、県内景気の動向をよりタイムリーに把握するため、新しい「りゅうぎん景気動向指数(RDI)」を作成した。従来のりゅうぎん景気動向指数は、11の経済指標を用いて1本の景気動向指数を作成していたが、今回は経済分野を幅広く網羅するため経済指標の数を23に増やし、景気に先行して動く先行指数、景気にほぼ一致して動く一致指数、景気に遅れて動く遅行指数の3本の景気動向指数を作成した。先行指数は、「景気の動きを予知」し、一致指数は「景気の現状を認識」し、遅行指数は「景気の転換点や局面を確認」することに利用できる。

○個別指標の季節調整については、従来のセンサス局法X-11からより安定性の高いセンサス局法X-12-ARIMAに変更するとともに、景気のトレンドをより見やすくした「趨勢循環変動からみた景気動向指数」も作成した。さらに、今回は、改訂した景気動向指数を用いてヒストリカルDIを作成し、過去の県内景気の山、谷の時期を設定(景気基準日付)した。

○新しい景気動向指数で足元の県内景気の動向をみると、2002年5月のRDI(速報)は、先行指数50.0%、一致指数62.5%、遅行指数83.3%となった。先行指数は5カ月連続で50%を上回っていたが、5月は50%ちょうどとなった。一致指数は6カ月連続で50%を上回り、遅行指数は3カ月連続で50%を上回っている。基調としては、一致指数が50%超で堅調に推移し、遅行指数も50%超に転じてきていることから、足元の県内景況には持ち直しの動きがみられるが、先行指数が50%超から50%ちょうどとなり、先行きについては若干下振れの可能性も懸念される。個別指標でみると、消費、生産、雇用関連の指標で概ねプラス傾向がみられるが、建設関連の指標でマイナス傾向が続いている。

○景気の山、谷の時期(景気基準日付)の判定については、一般に一致指数の動きを滑らかにしたヒストリカルDIを作成し、このヒストリカルDIが50%ラインを上から下に切る直前の月を「景気の山」、下から上に切る直前の月を「景気の谷」として設定している。当行でヒストリカルDIを作成し、沖縄県の景気の山、谷を設定した上で全国と比較してみると、1980年代においては景気の山、谷の時期が全国と概ね一致しているが、90年代以降は差異が大きくなっている。また、沖縄県の景気の山、谷は全国と比較すると総じて先行している。これは沖縄県が公共事業に対する依存度が高い半面、移輸入依存度が高く波及経路が限定されることから、景気対策の効果が効きやすく、また景気対策が途切れると後退に向かいやすいことなどが影響しているものとみられる。

 

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