Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

台湾における自転車利用促進に向けた取組み

要旨

 自転車の利用を促進するためには、ハードとソフトの両輪を整備しなければならない。本レポートでは、自転車利用の先進地である台湾の施策推進に対する認識と、ハードとソフト両面における取組みを調査した。

 台湾のサイクルツーリズムのシンボルとなっているのが、自転車で台湾を一周する「環島(ホワンダオ)」である。インフラ整備などを担う台湾政府交通部が主導し、2015年には台湾を一周する自転車道路「環島1号線」(961km)が開通した。これを基軸に、自転車旅を楽しめる路線が台湾各地でネットワーク化されている。道路整備や自転車利用を進める計画は継続中で、2024年からは「第2期環島自転車道路及びマルチ化ルート統合推進計画」がスタートし、台湾を「自転車大国」にする目標に向け施策が掲げられている。

 観光振興を担う交通部観光署は、海外でのCM放映や旅行博への出展、インフルエンサーの起用といったプロモーションに力を入れる。多くのサイクリストが一度に台湾を一周する「FORMOSA900」(11月)をはじめ、2018年に国連で制定された世界自転車デー(6月3日)に合わせた催しなど、幅広い層に自転車を楽しんでもらおうと一般からプロまでを想定したイベントにも関わる。

 一方で、台湾の自転車施策が進む背景には、世界を席巻する規模に成長した自転車産業の存在が欠かせない。特に1972年創業の自転車製造会社GIANT(ジャイアント)は、サイクリング専門の旅行会社設立やシェアサイクル事業などを手掛け、自転車文化の形成に貢献している。こうした行政、民間の後押しもあって、正確な統計はないものの台湾一周を楽しむサイクリストは年間数万人いるとみられている。

 翻って、沖縄県は2024年度から新たに自転車で観光地を巡るサイクルツーリズムの推進に向けた協議会を発足させる方針である。りゅうぎん総合研究所が既に発表したサイクルツーリズムに関するレポートで明らかにしたように、気候が温暖な沖縄は日本国内の他地域と異なって冬場の路面凍結がなく、観光の閑散期のコンテンツとしても可能性を秘めている。

 今後は、こうした自転車の利用促進のほか、県民生活にいかに根付かせていけるかも課題となる。沖縄に適した安全で自転車にやさしい環境の整備が期待される。

 台湾の事例を踏まえ、沖縄におけるサイクルツーリズム推進や県民の自転車利用向上に向けた提言を(1)一周路の観光資源化、(2)リーダーシップ、(3)公共交通の利用率向上―の3点に整理した。

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