Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

高齢化による沖縄の社会経済の構造変化

(要旨)

1.沖縄県の高齢化の現状

 沖縄県の年齢3区分別人口をみると、14歳までの年少人口の減少、65歳以上の老年人口の増加が続き、12年には老年人口が年少人口を上回った。本県は全国に15年遅れて両者の人口が逆転した。本県は、老年人口が18年に21%を超え、全国より8年遅く「超高齢社会」に入った。

2.健康状態と死因別死亡数の変化

 本県の要介護・要支援認定者数は2003年の3万6,412人から23年には6万2,834人と1.7倍に増加している。22年度末の要介護・要支援者に占める認知症高齢者は5万3,525人となっている。死因順位別の死亡率では高齢化により老衰が増え、アルツハイマー病も上位に挙がっている。

3.世帯構造の変化

 本県の夫婦とも65歳以上の二人世帯と65歳以上の単独世帯を合わせた高齢世帯が一般世帯の総数に占める割合は、2000年の10.7%から20年には18.4%と2倍近く増加している。

4.労働市場の変化

 60歳以上の労働力人口は、60歳~64歳では高齢者雇用安定法が施行された06年以降に全国、本県とも増加し、65歳~69歳も12年以降は増加に転じている。本県の労働力人口に占める65歳以上の割合は、2001年の5.2%から22年には10.9%となっている。労働力人口比率は男性、女性とも高年齢層で大きく上昇している。年齢間のミスマッチ指標も2008年度をピークに縮小している。また、親の介護をしている人数は、本県では17年の7万6,200人から22年には7万9,100人に増加している。有業者のうち介護休業制度を利用した割合は、男性が7.0%、女性が12.4%で1割前後に留まっている。また、介護離職者が全国的に増加しており、本県でも2017年の1万1,900人から22年には1万3,100人と増加している。性別では全国と同様に女性が約8割と多くを占めている。

5.産業構造の変化

 老人福祉・介護事業関連の事業所数が増加しており、2009年の659事業所から21年には1,420事業所と12年間で2倍以上となっている。特に通所・短期入所介護事業が09年の192事業所から21年には656事業所と3倍以上に増加し、46.2%を占めている。これらの施設で働く従業者数も増加しており、09年の1万5,769人から21年には2万8,606人に増加している。医療・福祉の求人数は増加を続けており、22年度の求人数に占める割合は約2割を占めている。また、医療・福祉の就業者数は10年の8万人から22年には12万4千人となり、全就業者数に占める割合も16.6%と最も高い。今後も増加が見込まれることから、デジタル化やロボット化などを推進し、労働生産生を高めていく必要がある。

(つづく)

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