Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

県内自動車販売業の現状と課題について

要旨

○沖縄県は鉄軌道がないこともあり、自動車への依存度が高い社会となっている。このため、自動車販売業者も数多く存在している。ただ、市場規模の拡大が難しくなり業者間の競争が激化するなど、自動車販売業者を取り巻く経営環境は年々厳しくなってきている。また、需要側のニーズの変化により業者には新たな対応も求められている。

○経営環境について1業者当たりの年間販売額、1従業者当たり年間販売額でみると、本県は全国を大きく下回っている。また、多くの項目で本県と類似県とみられる宮崎県の販売効率も下回っており、本県自動車販売業者の経営環境の厳しさが分かる。

○需要側のニーズの変化としては、本県では依然として中古車需要は高いものの、最近では新車に対する需要も伸びてきており、その差は徐々に狭まりつつある。また、普通乗用車や軽乗用車に対する需要が伸びる一方で、小型乗用車の需要は伸び悩んでおり、ニーズが変化しつつある。

○このように自動車販売業者を取り巻く経営環境が変化する中、以下のような課題が挙がってくる。まず、本県は自動車販売業者に占める中古車販売業者の比率が非常に高いがその中古車販売業者の経営環境が大きく変化しつつあるということ、次に小型乗用車の需要が伸び悩むなど取り扱い車種により業者間の経営環境の厳しさが異なってくること、そして平均車齢の伸びにより中古車販売業者が年式の新しい車の仕入れが難しくなってきたことである。

○このため、対策としては以下のようなことが考えられる。新車販売業者には、更なる新車需要の喚起や小型乗用車離れへの対策が求められる。新車需要喚起はメーカーの新車開発に頼る部分が大きいものの、新車販売業者にもメーカー任せではなく展示販売場を工夫するなど独自の対応が必要と思われる。

○中古車販売業者には、ニーズに対応した車種や年式の新しい車の仕入れなどが求められる。このようなニーズへの対応として、インターネットを利用した例が県内にある。県外のオークション市場とインターネットで直結することによって、豊富な車種および年式の新しい車を販売することが可能となっている。これは対応策の1つに過ぎないが、今後は仕入れ方法を変更するなどして、需要にマッチした中古車を仕入れることが必要と思われる。

○本県の自動車販売業者を取り巻く環境は厳しいものの、他府県と比較するとまだ市場が拡大する余地は残されていると思われる。今後、自動車販売業者の努力により需要の喚起が期待できる。

 

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