Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

県内総支出の1999、2000年度の早期推計と2001年度の見通し

要旨

○政府は2001年度のわが国の経済成長率(実質)の見通しを1.7%程度と策定した。この経済動向をみる際の基本的な指標である経済成長率は、国においては国内総支出の伸び率によって示され、また県においては県内総支出の伸び率によって示される。

○ところで、国内総支出(=国内総生産:GDP)については年次統計のほかに四半期ベースでも統計が作成されており、当該四半期の約2ヶ月半後には公表されるが、県内総支出については、データの制約などから年次統計のみが作成されており、また公表時期も当該年度の約1年8ヶ月後と遅くなる(2001年3月時点では98年度の県内総支出までしか公表されていない)。これは他の県についてもほぼ同様な状況にある。

○このため、2001年3月時点において、本県の2001年度成長率の見通しを策定するには、まず99年度、2000年度の県内総支出を何らかの方法で推計した上で、2001年度の予測を行うことになる。

○本稿では、99、2000年度の県内総支出について、その構成項目である個人消費や住宅投資、公共投資、設備投資などを家計調査や建築物着工統計、公共工事動向、金融関連統計など、直近まで公表されている月次の基礎統計を用いて「早期推計」を行った。その上で、2001年度の県内総支出については、当行で作成した「計量経済モデル」による予測をベースにして見通しを策定した。

○99年度の県経済の実質成長率は、早期推計によると民間設備投資が減少したものの個人消費、民間住宅投資、公共投資、移輸出が増加したことから、前年度比1.8%程度増加し、98年度の成長率(0.7%増)を上回ったものと見込まれる。

○2000年度の県経済の実質成長率は、早期推計によると個人消費が堅調に推移したものの、住宅投資、公共投資などが減少したことから前年度比で1.0%程度増加し、99年度より伸び率が鈍化しているものと見込まれる。

○2001年度の県経済の実質成長率は観光関連を中心に移輸出が持ち直すものの、個人消費の伸びが鈍化し、公共投資も減少が見込まれることなどから、前年度比で0.8%程度の増加となり、2000年度より伸び率が鈍化するものとみられる。

○なお、国の統計は2000年10月末に国内総支出の計算方法の改定(68年SNA方式から93年SNA方式に移行)が行われたが、県の統計はまだ93年SNA方式には改定されていない。このため、本稿の県経済の成長率見通しは、国の見通しと単純には比較できないことに留意する必要がある。

 

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