Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

県内在留外国人の動向と多文化共生社会の実現に向けた提言

( 要 旨 )

・出入国在留管理庁の在留外国人統計によると、2022年12月末の沖縄県の在留外国人は2万1,792人で、新型コロナウイルス対策で実施した外国人の入国制限を撤廃したことから前年末比3,257人(17.6%増)増加した。

・国籍・地域別ではネパールが3,335人で最も多く、過去最多となった。次いで中国(2,673人)、米国(2,672人)、フィリピン(2,343人)、ベトナム(2,234人)などの順となった。

・在留資格別では永住者が5,807人で最も多く、前年末比でも増加した。次いで留学(3,030人)、技術・人文知識・国際業務(2,320人)、日本人の配偶者等(2,022人)、技能実習(1,947人)、の順となったが、留学の増加数が最も大きかった。

・技能実習の減少は2019年4月に新たに創設された「特定技能」への移行も影響している。「特定技能」は23年6月末には1,563人となり、業種別では「農業」(367人)」が最も多い。

・在留外国人は22年から徐々に入国制限が緩和、その後撤廃されたことで、大きく増加に転じている。当研究所で沖縄県の「推計人口」から23年10月末の在留外国人を試算した結果、2万4,386人と推計され、前年末比で2,594人程度増加していると見込まれる。

・総務省の「住民基本台帳人口移動報告」で本県における在留外国人の人口移動をみると、入国制限が撤廃され、沖縄県経済も回復基調となった22年からは「国外からの本県への転入」が増加したことにより、「本県への転入超」が続いているが、県内の語学学校等を経て、県外へ進学・就職する外国人も多く課題である。

・コロナ禍を経て様々な経済活動が活発化し景気が拡大傾向にある今、あらゆる業界で人材不足が課題となっている。このような状況のもと、アルバイトも含め外国人労働者が地域経済社会を下支えしている現状がある。しかし生活面や教育面など、彼らを取り巻く環境は未だ改善の余地がある。

・県内の生産年齢人口も今後減少することが予測されており、長期的な労働力を確保するためにも外国人人材の必要性が更に高まるだろう。ただ世界各国・各地域でも労働力不足が課題であり、外国人材の取り合いの様相を呈しているなか、いかに就業地・居住地として選ばれるか対策の検討が急務である。

・沖縄は歴史的にも異文化を受け入れる素地がある。経済の発展のためにも共生社会のフロントランナーを目指し、(1)受け入れ態勢の整備・強化、(2)生活支援と人をつなぐ仕組みづくりの強化、(3)外国人支援についての会議体の設置、(4)国家戦略特区の活用による規制緩和を提案する。

・行政、民間、県民全体で、異文化を理解し尊重する意識を醸成しながら、外国人も日本人も同じ条件で暮らせる「世界に開かれた交流と共生の島」を創っていくことに期待する。

 

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