Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

観光先進地事例研究~ハワイの観光改革に学ぶ~

要旨

○1990年に史上最高の年間観光入込客数697万人を記録した以降ハワイ観光の伸び悩みが顕著となっている。

○ハワイは危機感から観光に関する州の体制を一変させた。それらは、①98年7月の官民のパートナーシップによる州知事諮問レベルの行政機関であるハワイ・ツーリズム・オーソリティー(HTA)の設立、②マーケティング強化のため、ホテル税の増税による観光特定財源の確立、そして③HTAによる観光戦略プランの策定である。

○ハワイ・ツーリズム・オーソリティーは、90年代のハワイ観光不調の原因を観光市場における他の観光地の台頭とハワイ自体のマーケティング力および観光商品開発力の欠如による競争力低下としている。

○観光戦略プランにおいては観光の成長の尺度として、経済的な有効性と持続的な観光開発の観点からそれまでの入込者数に代わり新たに観光消費を用いることとし、2005年までの目標年間伸び率を4.6%と設定した。

○戦略プランは、7つの具体的戦略から成っている。それらは、①コミュニケーションプラン戦略、②セグメント化によるマーケティング戦略③イベント戦略、④商品開発戦略、⑤航空座席戦略、⑥観光インフラ支援サービス戦略と⑦規制緩和と観光関連投資促進のサポート戦略である。

○最重要課題であるマーケティング部門を総合観光マーケティング、コンベンション・マーケティング、イベント・マーケティングの3つに分類しそれぞれについて競争入札制度を導入した。

○戦略プランは、公聴会を通して市民の声を反映させ、常に改定を続けることとした。

○本県もハワイの観光に関する諸改革から特に次のことを学ぶべきである。 ①観光特定財源をつくり、予算執行権をもつ観光専門担当部署をつくること、 ②観光の目標を量の増大から質の充実へと移行すること。③観光戦略プランをつくり、観光政策のビジョンと将来の方向性を示すこと、そして④市民との対話を通じて絶えず観光の重要性を啓蒙すること、である。

 

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