Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

泡盛業界の現状と課題

要旨

○戦前の黒こうじ菌を使った‘幻の酒’を復活させたり、伝統的な南蛮甕貯蔵及び樫樽での長期間熟成等により、泡盛業界は泡盛の香り、風味を格段に向上させるなど多様化する顧客ニーズに対応し、沖縄の伝統の酒である泡盛の品質向上を目指している。その効果に支えられ、泡盛の製成量・消費量は1992年以降順調に増加し、泡盛は県民の酒としてウイスキーを凌ぐ確固たる地位を築いている。

○82年からの全国的な焼酎ブームに乗り、泡盛の移出高は増加傾向にあったがブームの一巡により89年度には落ち込んだ。沖縄県酒造組合連合会や各企業は消費地の開拓について県内はもちろん、首都圏を中心にしたPR・販売促進活動を実施しており、その効果は焼酎ブーム後の県内・外移出高の落ち込みを順調な回復に導いている。また海外市場開拓についても、台湾などの市場調査を実施するなど積極的な動きも見られる。

○酒税法の改正に伴う酒税率の引き上げが97年10月からスタートし、今年(2000年)の10月1日で最終段階を迎え、酒税率はウイスキーとほぼ同等になる。また、しょうちゅう(乙類)に対する酒税率軽減の根拠となっている「沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律」や「租税特別措置法」の期限到来が近づいている。酒税率の引き上げによる価格上昇やディスカウント・ショップの出現等は業界に厳しい競争と経営の効率化を促している。酒税率の引き上げは徐々に課税額の増加となって現れており販売価格を押し上げてくるものと思われる。今後は製造コストの削減を含む経営の効率化・合理化により価格競争力の強化など業界の課題は大きなものがある。本レポートでは歴史と伝統の泡盛産業の現状と課題をまとめてみた。

 

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