Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

本県の地価動向について~基準地価をベースにした多角的分析~

要旨

○99年の基準地価は、足もとの厳しい経済情勢を反映し、全国:住宅・商業地価は8年連続、三大圏:住宅・商業地価格は9年連続のマイナスと下落基調に歯止めがかからない状況が続いている。本県でも住宅地は1974年の調査開始以来、初めて下落に転じ、商業地は8年連続のマイナスとなっている。こうした地価下落の動きは、バブル崩壊後のつめ跡の大きさを物語っており、当然、そこには経済の動きが密接に絡んでいる。

○土地取引の状況を面積でみると、バブル絶頂期の89年に一挙に水準を切り上げたが、その後91年になると土地取引が急に冷え込み、水準をかなり落としながら、現在に至っている。商業ビルの着工床面積の動きとほぼ同様のトレンドと描いており、民間需要の冷え込み等が影響していることが窺い知れる。

○本県の住宅地価は、九州では福岡県に次いで2番目の高い水準となっている。理由としては本県の島嶼性による可住地面積の狭隘さ等が挙げられよう。

○本県のうち、人口規模や地価水準、新設住宅着工戸数の規模などを鑑み、当調査部において市部から7市、町村部から7町村を選定し、様々な指標をもとに地価の動きを分析した。

○住宅地については元来価格水準が高い都市部の地価が下がり、相対的に割安感が強い郊外の市部や町村部が安定価格で推移しているという二極化した動きとなっている。商業地については那覇市の下落がきつく、空洞化の動きは否めない状況となっている。一方、町村部の地価は割安感もあって市部に比べ相対的に安定した動きとなっている。

○株価と地価はバブル期において同様の動きを示していると思われ、両者の価格形成要因について需給関係やファンダメンタルズ面を中心に考察してみた。今後、土地をめぐる環境の整備が進み、取引において現在より精度を高めた収益還元法に基づく収益価格が浸透していけば、都市部の商業地価と市場性の高い資産である株式の価格は連動性が高まってくると思われる。

○いま地価の安定化・適正化に必要とされるのは、安定的な経済成長の実現と同時に、行政側の施策展開による土地取引の円滑化・促進化や、情報開示の積極化など市場改革の推進であろう。

○本県においては、今後は民間、行政が一体となり、豊かな町づくりや良質な住宅地の形成など本来の土地活用に即した市場の創造を図り、かつ健全な市場環境整備へ積極的に取り組むことが期待されている。

 

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