Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県内におけるレンタカー業界の動向と充足率推計

(要旨)

・沖縄県内のレンタカー業界は、コロナ禍で大きな打撃を受け、各レンタカー事業者は事業継続のため大幅な減車を余儀なくされた。その後、観光需要が再開しはじめた2022年度には、急激な需要増加に対応できず、レンタカーの供給不足が顕在化した。

・足元では、長いコロナ禍を経て入域観光客数は増加基調にあり、車両数は回復しつつあるものの、深刻化する人手不足に起因したレンタカーの供給不足が継続している。充足率の推計では、2023年度を通してレンタカーの不足感が継続する見込みとなり、コロナ禍からの回復途上である県経済にとって逆風となる懸念がある。

・観光業をリーディング産業とする当県において、レンタカー業界の動向が県経済へ与える影響は大きい。レンタカー業界においては、コロナ前より多くの問題や課題が存在しているが、本レポートでは、コロナ禍を経て益々深刻化する①人手不足、②違反事業者の増加、③那覇空港および周辺道路の混雑という3つの課題について整理した。

・また、諸課題解決と並行して、レンタカーだけに依存しない2次交通体系の構築に向けた検討も必要である。観光客の約6割がレンタカーを利用する過度なレンタカー依存という実態や、今後の旅行牽引世代における車離れといった状況を踏まえ、公共交通やシェアリングサービス等、多様な移動手段の組み合わせによる利便性・周遊性向上を図り、円滑で均衡の取れた2次交通体系の構築が望まれる。

・レンタカー業界の課題解決は、観光客の満足度向上だけでなく、レンタカー事業者の稼ぐ力を高め、ひいては県経済の活性化につながると考えられる。官民連携によるレンタカー業界の高付加価値化の実現、そして観光客と事業者、地域住民にとって望ましく、観光立県にふさわしい持続可能なレンタカー市場が形成されていくことに期待したい。

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