Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

経営事項審査制度の見直しについて

要旨

○足もとの県内景気に目を向けると、昨年の経済対策等を受けての公共工事増や入域観光客数の好調な推移等により、回復の気配をうかがわせる動きとなっている。

○県内経済を考える際、我々が基幹産業として位置付けるのは、一般的には建設業と観光産業であろう。建設業者数は1999年2月現在、復帰当時の2倍余りの5,512業者まで増えている。就業者数は1998年3月現在で79千人と、全産業(566千人)の14.0%の割合を占めている。なお、名目GDPに占める建設業の総生産額の割合も96年度が14.0%となっており、県経済の大きな牽引役として重要な位置を占めている。

○ただ、建設業界を取り巻く環境は、年々厳しさを増しており、大きな構造変化に直面している。わが国の長期に亘る景気の低迷やインフラ整備の充足感の高まり、高齢化・少子化、さらなる財政悪化への危機感の強まり等により、従来のような公共投資の拡大は期待しづらいと思われ、特に公共事業への依存度が高い中小建設業者にとっては、今後厳しい時代を迎えることが予想される。

○これまで政府は様々な施策を展開してきているが、98年の中央建設業審議会建議には、建設業の構造改革推進策の一つとして、「経営事項審査等企業評価制度の在り方」についての内容が盛り込まれている。

○ そこで、今回は、公共工事を請け負う企業の施工能力等に関する客観的事項の審査である「経営事項審査制度」について、最近、2度に亘って行われた制度改正の内容を中心にアプローチを試みたい。

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