Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

県内小売業の現状と中心市街地の活性化

要旨

○県内の小売業を取り巻く環境の変化が速い。従来型の小売業が姿を変え、郊外型の大型ショッピングセンターや市街地のコンビニエンス・ストアなどの出店が相次いでいる。1991年、94年、97年の沖縄県企画開発部統計課「沖縄県の商業」と通産省「商業統計表」により、県内小売業の動向を検証してみた。

  1. 県内の小売業商店数は減少傾向にある。地域的には中心市街地を持つ市部 での減少数が郡部を上回っており、また小規模店の減少が著しい。
  2. 年間販売額においても市部で減少しており、また経営組織、規模別には法人・大規模店の年間販売額が増加している。
  3. 県内の小売業に携わる従業者数は全体的に減少しており、特に個人店と大 規模店以外の従業者の減少が目立っている。
  4. 売場面積は全体に減少しているものの、1500㎡以上の売場面積を有する大規模店は売場面積を増加させている。
  5. コンビニエンス・ストアは人口の密集している市部において店舗が増加し ている。要因として1997年のローソンの新規参入があげられるが、その後は出店競争による競争が厳しくなっている。

○これまで商業活動の主な担い手だった中心市街地は、モータリゼーションの進展等環境の変化により、空き店舗の増加など空洞化の問題に直面している。中心 市街地の空洞化問題は全国的なものである。そのような中心市街地において空洞化の諸要因を解決し、市街地の再活性化を目指して中心市街地活性化法が昨年施行されている。中心市街地活性化法の概要は次のとおりである。

  1. 中心市街地活性化法の目的は、市街地の整備改善と商業等の活性化を一体的に推進するための措置を講ずることにより、地域の振興及び秩序ある整備を図り、国民生活の向上と国民経済の健全な発展に寄与することである。
  2. 中心市街地活性化法の基本的な考え方は以下の通りである。
      (1)市町村のイニシアテイブで推進されること。
      (2)地域住民の理解と協力を得ること。
      (3)商工会議所、商工会、特定事業者等民間活力の最大限の活用。
      (4)「市街地の整備改善」と「商業等の活性化」の一体的推進。
      (5)関係省庁の連携と各種の支援措置でバックアップする。
  3. 市町村の取組み状況 県内では那覇市、沖縄市、宜野湾市、石垣市が中心市街地活性化法に基づく「基本計画」または「基本計画(案)」を策定しており、中心市街地の活性化を推進している。
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