Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

県内物流のロジスティクス~求められる物流システムの構築~

要旨

○私たちの生活が豊かになった結果、消費者は画一的な商品ではなく、個々人のライフスタイルにあった付加価値を追求するようになった。この消費態様の個性化・多様化により、物流には多品種小口配送、ジャスト・イン・タイムなどが求められるようになり、物流コストの上昇など様々な問題に直面することとなった。

○このほかにも、若年労働者層が3K(きつい、汚い、危険)といわれる職種を敬遠する動きがみられるほか、近い将来20歳台の労働力人口が減少することが推計されるなど、将来の労働力の確保も問題となってきている。

○また、交通渋滞、地球温暖化に伴う排ガス規制など、社会問題・環境問題もクローズアップされてきており、物流を取り巻く環境は大きな変化を見せ、物流にかかわる企業全体にいま変革が求められている。

○これらの問題を解決するため、いまロジスティクスの概念に沿った経営戦略が求められるようになった。これは、これまでの物流機能の「売買」「輸送」「保管」に「情報」を加えた考え方で、物流システム・情報システムの構築を求めるものである。

○県外においては、POSシステム、EOS、EDIなどの情報システム、物流センターや共同配送などの物流システムを積極的に構築し、効率化・省力化を進める動きが見られるようになっている。

○県内においても、量販店(スーパー・マーケットやコンビニエンス・ストア等)などでは、物流システム・情報システムの構築が行われており、効率化・省力化が進んでいる。しかしながら、その他の小売業者や卸売業者、物流業者においては、システムの構築は遅れており、まだまだ改善する余地が残っている。

○これらの業者においてもシステムの構築が望まれるが、規模や資本力が小さな業者も多く、独力で実現するには壁が多く存在している。また、共同化で実現する方法もあるが、実現には経営者の意識改革、強いリーダーシップが必要とされることから、この方法も容易ではない。

○沖縄地方総合物流施策推進会議は、「沖縄における物流効率化推進アクションプログラム」を策定しており、行政側も物流の効率化・省力化に注目をはじめている。今後、行政側が強いリーダーシップを発揮し、物流システム・情報システムの構築が成されることが期待される。

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