Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

県民所得の97、98年度早期推計と99年度予測

要旨

○県民所得統計は県経済の規模や成長率などをみる最も重要な統計であるが、公表までに時間を要するため足元の状況が把握できない難点がある。また、経済予測に対するニーズは高いものの、予測を計量的に行う場合には、その前提となる予測開始直前の2年分ほどの県民所得統計が公表されていないため、何らかの方法でこの未公表分の県民所得統計を独自に推計する必要がある。

○そこで当行調査部では地域の経済情勢を迅速に把握するために、一試算として「県民所得の早期推計」により未公表の97、98年度の県内総支出を推計するとともに、沖縄県の「計量経済モデル」を構築し、99年度の県経済の予測を行った。

○早期推計は、精度は多少低下しても概ね実勢から大きく乖離しない程度に推計を行い早めに経済情勢を把握することが目的であり、県民所得統計の各需要項目毎にその動きを反映し、かつ早めに入手が可能である基礎統計のみを用いて実際の推計作業よりも簡便な方法で推計を行った。

○今回の早期推計に使用した基礎統計は、「家計調査の消費支出」、「建築着工統計の工事費予定額」、「公共工事動向の請負金額」、「金融機関の設備資金貸付額」、「入域観光客統計」、「沖縄地区税関の管内貿易概況」などである。

○次に、計量経済モデルによる予測では構造方程式26本、定義式46本の連立方程式から成るモデルを構築し、97、98年度の早期推計結果を踏まえ、サミット関連事業予算や事前の宣伝効果により見込まれる来訪者の増加なども加味して99年度の県経済を予測した。

○また、計量経済モデルの利点として一旦、標準的な予測結果を試算すると、同モデルを用いて政策変更や外部経済環境の変化がその地域経済に及ぼす影響をみることが比較的容易にできる。参考までに公共投資や増減税、政策金利変更など、いくつかのケースについてシミュレーションを行い、県経済に及ぼす影響を分析した。

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