Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

県内建設業を取り巻く環境について

要旨

○本県は、1972年の本土復帰以来、3次に亘る沖縄振興開発計画に基づき、積極的なインフラ整備が推進された。こうした公共投資の拡大とともに、世帯数の伸びを反映した住宅着工の増加、観光産業の発展など民間投資の拡大を受けて、完成工事高は1990年代には復帰当時の10倍余りの6~7千億円台、建設業者数も1999年2月には、2倍余りの5,512業者と、大幅に増加した。

○橋本政権時代に打ち出された財政構造改革の路線は、今のところ棚上げとなり、景気浮揚策の一環として公共投資が増額されているが、中長期的には本国経済の成熟化、インフラ整備の充足感の高まり、高齢化・少子化、さらなる財政悪化への危機感の強まり等により、これまでのような公共投資の拡大は期待しづらいと思われる。

○建設業界を取り巻く環境は、年々厳しさを増しており、これまで政府は様々な施策を展開してきている。本稿では、建設業界における最近の制度改革等として、入札制度改革、公共工事コスト縮減対策、公共事業再評価システム、経営事項審査制度見直し、VE導入、PFI、CALS/ECについて、県内での動き等を織り交ぜながら個別ごとにアプローチを試みた。

○その他、資源の有効利用や環境負荷の低減という見地から、「ライフサイクル・マネジメント」と「環境マネジメントシステム」を、建設業界における新しい潮流として捉え、県内の動きを交えながら考察してみた。

○県内建設業界においても、ドラスティックな構造改革の推進が必要となっており、企業としては、コストダウン策の徹底、経営計数管理の強化、技術(開発)力の向上、情報化の推進など「生産性の向上」と、自社商品開発、企画提案能力の向上など「商品企画力の向上」に取り組み、環境変化に対応すべく体質強化を図っていくことが一層重要になっている。

○今まさに、規制緩和、自由競争の時代である。県内建設業界において、今後、永続的な成長を目指す企業は、特色ある企業づくりと、自助努力による組織革新が求められている。それは、現状の殻を打ち破り、より一歩飛躍したところに新しい活路を見出すことに他ならない。

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