Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

本県におけるエコツーリズムの現状と課題

要旨

○エコツーリズムが日本で注目を浴びるようになった背景には、環境問題が重要なテーマとなり、旅行者の意識が変化し、そして地域振興が盛んに言われるようになったことがある。

○最近の沖縄県への入域観光客の動向を見ると、①リピーターが増加し、②団体旅行が減り、家族旅行が増え、③旅行の目的が多様化・個性化している。こうした変化に対応するべく今後エコツーリズムの開発がますます重要になって来るだろう。

○本県のやんばる(山原)はエコツーリズムに大変適した地域である。やんばる三村(国頭村、東村、大宜味村)ではエコツーリズムの確立を目指しており、地元の住民の参加はもちろん、村行政のバックアップも強い。

○三村レベルでのエコツーリズム協会の設立までにはまだ時間がかかるが、協会設立の意義には以下のことが考えられる。
 ①三村をまたぐエコツアールートの開発
 ②受け皿機能の構築
 ③ガイド派遣センター機能の構築
 ④組織することによる発言力の強化
 ⑤環境保全に熱心でない業者に対する広域組織としての監視機能

○エコツーリズムが成功するためには良いガイドの存在が不可欠であるが、先ごろ設立されたやんばる自然体験活動協議会等を通じて、ガイド育成のために特に県を中心とする行政側の息の長い支援が必須である。

○エコツーリズムは従来型の観光形態(マスツーリズム)を補完するものである。エコツーリズムは観光資源の保全を目指す旅行形態であり、一度に大量の旅行者をさばくものではない。

○地元の住民が経済的にそして精神的に満足したときにエコツーリズムが成功したと言える。そのためには地域の自然・歴史・文化を尊敬するという観光客側の意識レベルの向上も欠かせない。

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