Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

本県の住宅リフォーム市場について

要旨

○本県の住宅ストックは充足感が強まっており、当行調査部推計では今後10年間の新設住宅の伸びは「縮小・横ばい」傾向との見通しを示した。

○一方、最近は、住宅に対するイメージが「量的拡大」から「質的充実」へと意識の転換が起きており、これからは既存住宅の前向きな活用、いわゆる「住宅リフォーム」に対するニーズが高まっていくものと考えている。

○本県の非木造住宅比率は全国に比べてかなり高く、なかでも、耐震設計基準が改正された1981年以降の住宅:154,600戸は、「増築」や「改修」によってうまく活用できる、いわゆる狭義的な意味合いでの「リフォーム需要層」と捉えることができよう。

○本稿では、住宅リフォームを「リフォームに付随した家具・インテリア用品等の購入費を含めた増改築・改修工事」と定義付けて、本県の市場規模の推計を行った結果、1993年:435億円、1994年:425億円、1995年450億円、1996年:475億円、1997年:340億円となった。

○次に、将来の住宅リフォーム市場の規模は1995年:450億円、2000年:490億円、2005年:530億円、2010年:570億円を予想している。本県の県内総生産(名目)の住宅投資額(リフォームを含む)は1995年が2,187億円で、これと比較すると2010年の住宅リフォーム市場:570億円(インテリア関連含む)という規模は、大きな市場であることは間違いない。

○最近、政府においては「良質な住宅ストックの整備」という観点から「基準金利適用住宅」(住宅金融公庫)、「中古住宅情報整備」(建設省)、「住宅品質確保促進制度」(建設省)などの諸政策を展開している。これらの政策がうまく奏効し、わが国の住宅の耐用年数が伸びれば、将来的なリフォーム需要の拡大要因として期待感が強まるであろう。

○本県においても住宅リフォームに対する潜在的な需要は多いと思われ、これをどう取り込むかが業者の重要な課題となっている。企業の情報化や専門分野の人材育成、専門技術の高度化などの企業戦略分野に対しては、あらゆる業界において、その積極的な取り組みの必要性が高まっており、当業界でも同様である。

○業者自身が、当業界での優位性を確保しようとするならば、「リフォーム」への固定的な概念を転換させ、今後は、顧客の潜在的欲求を駆り立てるオリジナリティーな商品企画の充実化と、専門技術者の確保を含めた要員の拡充等による積極的な営業展開を目指すべきであろう。

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