調査レポート
県内医療機関の動向~介護保険制度施行を目前にして~
要旨
○わが国では高齢化の進展に伴う医療費の増大や高齢者介護などが大きな社会問題となっており、医療や福祉の分野における体制や制度などの改革が行われている。来年4月には社会保障構造改革をすすめる第一歩として介護保険制度がスタートする。
○本県は、高齢者比率は全国平均より低くその進行も緩やかではあるが、地域によっては既に高齢化していることや、夫婦共働き家族が多く家族の介護力が低い状況からすると、本県でも高齢化問題は早急な対応が必要である。
○県では、昨年12月に療養型病床群の整備目標数を設定した。また今年4月以降の新たな医療計画を作成中であり、今後の必要病床数が見直される。
○県内医療機関の現状をみると、病院数は横ばいで推移し、診療所数は増加が続いている。県内全体の病床数は、医療計画上の必要病床数を上回っているが、都市部へ集中しており地域的な偏在がある。医師の数は、離島・へき地の医師不足が解消されていない状況である。
○医療機関は介護保険制度施行を目前にして、療養型病床群への転換や、在宅サービス事業の取り組みなど様々な選択に迫られている。特に在宅サービスは、今後大きく伸長することが期待される分野で、その取り組み方がこれからの医療経営の明暗を分ける重要なポイントになる。
○今後も政府は増大する医療費を抑制する為に競争を促す方針で、医療・福祉分野全般に民間業者の参入を認める方向で検討しており、さらに規制緩和が進展する可能性がある。医療経営においては、医療・福祉行政の動向を正確に把握したうえで、将来の進路と明確な経営方針を持つことが重要となろう。
1999年02月 |
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