Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

2022年度の沖縄県経済の動向

(1)概況

 2022年度の県内景気は、消費関連は、外出機会の増加に伴う消費マインドの高まりから、持ち直しの動きとなった。建設関連は、資材価格が高止まりしているものの、民間工事に再開の動きがみられ、持ち直しの動きとなった。観光関連は、行動制限がない状況が継続し、旅行需要の高まりが明確となり好調に推移した。全体では、緩やかな回復の動きとなった。

 個人消費関連は、持ち直しの動きがみられた。百貨店は、コロナ禍で落ち込んだ前年度の反動のほか、外出機会の増加に伴い衣料品や食料品を中心に好調な動きがみられたことなどから前年度を上回った。スーパー売上高は、値上げによる単価の上昇に加え、外出機会の増加に伴う消費マインドの高まりがみられたことなどから、既存店・全店ともに前年度を上回った。耐久消費財では、新車販売台数は、供給体制に改善傾向がみられたほか、観光需要の高まりによりレンタカーが増加したことなどから前年度を上回った。家電大型専門店販売額は、コロナ禍で高まった家電需要に一服感がみられたことなどから前年度を下回った。

 建設関連は、持ち直しの動きとなった。公共工事では、沖縄振興予算が前年度を下回り、県や市町村発注の工事は減少したが、国発注の工事は増加したことから前年度を上回った。民間工事では、分譲マンションやホテルなどの受注がみられ、建設受注額の増加に寄与した。建設資材関連では、鋼材、木材ともに資材価格が高止まりで推移しており、売上高で前年度を上回った。

 観光関連は、年度を通して行動制限がない状況が継続し人流回復が活発化するなか、第3四半期以降に政府の需要喚起策も実施されたことで、前年度比は回復の動きが明確となった。入域観光客数は、国内客は前年度比2年連続で増加し、外国客は3年ぶりに入域があり前年度から全増となった。県内主要ホテルは、稼働率、売上高、宿泊収入、客室単価全て前年度を上回った。主要観光施設入場者数及びゴルフ場入場者数も前年度を上回った。

(2)消費関連

 個人消費は、持ち直しの動きがみられた。

 百貨店売上高は、前年度比10.4%増となった。コロナ禍で落ち込んだ前年度の反動に加え、外出機会の増加により衣料品や食料品が増加したこと、また水際対策緩和に伴い免税売上が増加したことなどから前年度を上回った。スーパー売上高は、既存店ベースでは同2.9%増、全店ベースでは、同3.4%増となった。値上げによる単価の上昇などにより食料品が増加したほか、外出機会の増加に伴う消費マインドの高まりがみられ衣料品や住居関連などすべての項目で増加した。

 耐久消費財では、新車販売台数は、同13.8%増となった。半導体をはじめとする部品不足などによる制約が和らぎ、新車供給体制に改善傾向がみられた。また、観光需要の高まりに伴いレンタカーが増加したことなども寄与した。家電大型専門店販売額は、同2.0%減となった。外出機会が増加しコロナ禍で高まった家電需要に一服感がみられたことなどから前年度を下回った。

(3)建設関連

 建設関連は、持ち直しの動きとなった。

公共工事請負金額は、前年度比1.3%増となった。沖縄振興予算が前年度を下回り、県や市町村発注の工事は減少したが、国発注の工事は増加した。前年度に続き、道路や港湾、防衛関連工事などがみられた。発注者別にみると、国、独立行政法人等・その他は前年度を上回ったが、県、市町村は下回った。

建築着工床面積は、同3.6%減となり、居住用は増加したが非居住用は減少した。

新設住宅着工戸数は、9,474戸(同1.7%増)となり、5年ぶりに前年度を上回った。ウエイトの大きかった貸家は前年度に続き減少傾向がみられたが、分譲住宅は同21.3%増となり全体の増加に寄与した。利用関係別にみると、分譲は前年度を上回り、持家、貸家、給与は下回った。

建築受注額は、同26.7%増となり、分譲マンションやホテルなどの受注が複数みられた。

建設資材関連は、コロナ禍以降の資材価格の高騰に一服感がみられた。セメント出荷量は同1.5%減となり、生コン出荷量は同4.0%増となった。鋼材売上高は出荷量が減少しているものの鋼材価格が高止まりで推移していることなどから同1.9%増となり、木材売上高は住宅関連工事向けの出荷などから同4.6%増となった。

(4)観光関連

 観光関連は、回復の動きが明確となった。

 年度を通して行動制限がない状況が継続し旅行需要が高まるなか、第3四半期以降は全国旅行支援の実施による需要喚起がなされたことから、入域観光客数は前年度比で約2倍と大きく増加し、主要ホテルの稼働状況も前年度を大きく上回り、好調に推移した。

 入域観光客数は、年度全体では前年度比106.9%増の677万4,600人となり、2年連続で前年を上回った。また伸び率・増加数ともに過去最高となった。国内客は同100.8%増の657万4,500人となり、コロナ禍以前で過去最高を記録した2018年度の93.9%まで回復した。また外国客は3年ぶりに入域があり20万100人となり全増となった。

 県内主要ホテルは、稼働率は52.2%と同27.4%ポイント上昇した。売上高は同121.5%増となり、宿泊収入は同142.6%増、宿泊単価は同16.1%増となった。那覇市内ホテルは、稼働率は54.8%と同27.7%ポイント上昇し、売上高、宿泊収入、客室単価は前年度を上回った。リゾートホテルは、稼働率は51.2%と同27.3%ポイント上昇し、売上高、宿泊収入、客室単価は前年度を上回った。

 主要観光施設入場者数は同184.9%増となった。ゴルフ場入場者数は、県内客、県外客ともに増加し同10.4%増となった。

(5)その他

 雇用情勢をみると、就業者数は、運輸業・郵便業、製造業などで減少したものの、情報通信業、宿泊業、飲食サービス業、金融業・保険業などで増加した。失業率は3.2%と前年度から0.4ポイント低下した。新規求人数は同21.4%増となり、有効求人倍率は1.04倍と前年度を上回った。

 企業倒産は32件で前年度を3件下回った。コロナ対応の金融支援や雇用調整助成金の効果持続などから件数は過去最少となった。業種別では、サービス業12件(同3件減)、小売業6件(同1件増)、建設業が4件(同3件減)などとなった。負債総額は30億5,900万円で同62.8%減となり、大型倒産(負債総額10億円以上)は発生がなく(同2件減)、大口倒産(同1億円以上10億円未満)は9件(同5件増)となった。

 消費者物価(総合)は、食料、光熱・水道、家具・家事など全ての費目で上昇したことなどから、前年度比3.4%上昇となった。

                                                                                                                  以上

 

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