Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

本土復帰後の県内観光の動向

【要 旨】

・本レポートは、本土復帰後の50年において、長期に亘る振興計画のもとに実施された観光インフラ整備や、数々の誘客施策やホテルでの受入れ対策など、観光が県のリーディング産業として成り立つまでに、官民が連携して実施した努力の積み重ねを、入域観光客数と観光収入の推移を見ながら振り返るものである。

・復帰後の入域観光客と観光収入は、本土復帰した1972年はそれぞれ44万人、324億円であったが、その後は様々な危機的局面を迎えながらも、2019年には1,016万人、7,484億円となり23.1倍と大きく伸長した。しかし20年に入り新型コロナウイルス感染症の影響で人流が停止したことにより、入域観光客数は300万人程度、観光収入も2,485億円と1990年代初期の水準となり、県経済全体へ甚大な影響が生じた。

・代表的な誘客施策として列挙した、プロ野球キャンプ、リゾートウエディング、修学旅行は、沖縄観光スタイルとして定着し、入域客数の確保のほか、観光時期の平準化という課題解決の一助となっている。同様の施策は今後も更なる展開が期待されており、引き続き沖縄の魅力を国内外に発信していくことが求められる。

・新型コロナウイルス感染症の影響で、観光業が停止せざるを得ず、県経済は復帰後最大の危機を経験した。観光は沖縄の基幹産業であること、そして外部環境の変化や風評に影響を受けやすいことを再確認した今、本格的な観光再興に向け、他の産業とも連携をしながら新たなコンテンツを育てていくことや、多様化するニーズに迅速に対応することが求められている。今後は沖縄の『自然』と『独自の文化』を守ることを大前提に置き、それを訪れる側と受け入れる側の双方が意識し実践する、レスポンシブルツーリズムを推進しながら、高付加価値の観光の仕組みづくりに期待したい。

 

 

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