Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県経済2022年の回顧と2023年の展望

【2022年の回顧】

 ~ 国内経済は持ち直しの動き ~

 ~ 県内経済は持ち直しの動きが強まる ~

○国内経済は、経済活動の再開により個人消費や企業の業況判断が持ち直していることを背景に、持ち直しの動きがみられた。

○県内経済は、3月以降行動制限がない状況が続き経済活動が活発化するなか、消費関連、観光関連の回復が顕著となり、年央から持ち直しの動きが強まる展開となった。

○個人消費は、行動制限がなく外出機会が増加し、ペントアップ需要の高まりがみられたことなどから持ち直しの動きがみられた。百貨店・スーパー売上高は、食料品や衣料品、身の回り品などすべての品目で前年を上回った。耐久消費財では、新車販売台数は、半導体不足をはじめとする供給網の停滞懸念が継続し、弱含む動きとなった。家電大型専門店販売額は、コロナ禍で高まった家電需要に一服感がみられたものの、供給制約が解消されつつあり、全体としては前年を上回った。

○建設関連は、下げ止まったのち持ち直しの動きとなった。公共工事では底堅く推移した。民間工事では新築工事が増加し再開の動きがみられた。

○観光関連は、行動制限が解除された状況が続いた結果、入域観光客数は大きく増加した。同様に主要ホテルは宿泊客室稼働率、売上高ともに前年を上回り、観光施設入場者数も前年を上回った。またゴルフ場は、入場者数と売上高が前年を上回った。

○雇用情勢は、経済活動が再開するなかで、求人数が増加し有効求人倍率(季調値)が前年を上回ったほか、完全失業率は低下し改善がみられた。企業倒産は、件数、負債総額ともに減少した。政府や金融機関によるコロナ関連支援の継続などにより、倒産件数は抑制された。

 

【2023年の展望】

 ~ 国内経済、県内経済ともに緩やかな回復基調 ~

○国内経済は、経済活動の正常化の勢いが強まり、底堅い個人消費や、旺盛な設備投資意欲に支えられ、緩やかに回復していくことが予想される。

○県内経済は、観光など個人向けサービスで回復の動きが強まること、建設関連においても民間投資に再開の動きが強まることから、緩やかに回復していくことが予想される。

○個人消費は、物価高などの影響により不透明感は残るものの、外出機会の増加に伴い消費マインドが向上し、持ち直しの動きが強まるとみられる。

○建設関連は、持ち直しの動きが強まるであろう。公共工事では沖縄振興予算案が前年と同水準となり、道路や港湾、空港などの整備が進むと見込まれ、底堅く推移するとみられる。民間工事では建設資材価格の上昇などに注視する必要があるが、経済活動の再開に伴う建設投資需要の回復が期待され、持ち直しの動きが強まるとみられる。

○観光関連は、国内客の旺盛な旅行需要に加え、入国制限緩和により外国客の増加も見込まれ、回復基調が予想される。ただ、コロナ禍で観光業界から流出した人材不足の影響は大きく、需要拡大時の受け入れ態勢に懸念が残るため、引き続き態勢の再構築が急がれる。

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