Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

本土復帰後の50年における県内個人消費の動向について

【要 旨】

・本レポートは、本土復帰後の50年において厳しい経済環境の変化に起因した景気変動により幾多の局面を経てきた個人消費の動向について振り返り、家計調査のデータを基に家計消費の推移及び構造の変化などについて取りまとめたものである。

・1973年の消費者物価は、前年比17.9%であったのに対し、2021年は同0.1%となった。復帰後の75年までは2桁台の上昇が続く狂乱物価がみられたもののその後はバブル景気、消費税導入、消費増税、リーマンショックでの影響を除くと小幅な変動で推移した。

・実収入は、73年は12万8,621円であったのに対し、2020年は33万2,235円と約2.6倍に増加した。復帰後の狂乱物価に対する高い賃金上昇率や海洋博景気、バブル景気などが影響し93年にピークとなった。

・1世帯当たりの月平均消費支出額は、72年は8万4,155円であったのに対し、20年は19万3,303円と約2.3倍に増加した。復帰後は、物価上昇や海洋博景気を受け大幅な伸びをみせたが、バブル崩壊後はゆるやかに減少を続けた後、小幅な変動で推移した。

・エンゲル係数(食料費/消費支出)は、73年は33.8%であったのに対し、20年は29.3%と4.5ポイント低下した。物価上昇や2度にわたる石油ショックなどにより変動はみられたものの、生活水準の向上などにより低下基調で推移した。

・費目別構成比の推移は、「住居」、「交通・通信」などは増加し、「被服及び履物」、「家具・家事用品」などは減少した。また、高齢化に起因した社会保障費の増加により非消費支出割合が増加し、可処分所得割合の減少がみられた。

・個人消費は県内景気の動向に大きな影響を及ぼし、またコロナ禍で疲弊した県経済の回復に資する重要な役割を担う。復帰後の50年において個人消費を取り巻く環境は大幅な改善がみられたものの、今もなお全国平均を上回る失業率や低い所得水準など多くの課題が残る。個人消費の維持・拡大を目指すにあたり、雇用環境の整備や所得の増加、消費意欲の醸成といった好循環を生み出すことが不可欠となる。個人消費を取り巻く環境の更なる改善及びアフターコロナを見据えた今後の更なる発展が望まれる。

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