Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

コロナ禍での県内在留外国人の動向

要 旨

・出入国在留管理庁の在留外国人統計によると、2021年6月末の沖縄県の在留外国人は1万9,205人で、新型コロナウイルス対策で入国を規制した影響などから20年末比634人(3.2%減)減少した。

・国籍・地域別ではベトナムが3,006人で最も多く、19年末以降、最多が続いている。次いで中国(2,549人)、米国(2,488人)、フィリピン(2.196人)、ネパール(1,913人)などの順となった。また、多くの国籍・地域で減少する中、ブラジルは永住者や定住者を中心に増加傾向が続いている。

・在留資格別では永住者が5,421人で最も多く、前年末比でも増加した。次いで技能実習(2,901人)、技術・人文知識・国際業務(2,237人)、日本人の配偶者等(1,885人)、留学(1,837人)の順となったが、いずれも前年末比で減少し、特に留学の減少数が最も大きかった。また、技能実習の減少は2019年4月に新たに創設された「特定技能」への移行も影響している。「特定技能」は20年3月末の66人から21年9月末には322人となり、業種別では「飲食料品製造業(109人)」が最も多い。

・年齢・男女別では、19年末において男性、女性とも最も多かった20~24歳が20年以降は大きく減少している。20~24歳以外の年齢階級の在留外国人では大きな減少はみられず、コロナ禍で減少したのは20~24歳の在留外国人にほとんど集中したことになる。これらの年齢階級では「技能実習」や「留学」、「技術・人文知識・国際業務」が多く、入国制限が影響した。

・在留外国人は21年も新型コロナウイルスの感染拡大による入国規制で減少傾向が続いている。当研究所で沖縄県の「推計人口」から21年10月末の在留外国人を試算した結果、1万8,773人と推計され、20年末比で1,066人程度減少したものと見込まれる。

・総務省の「住民基本台帳人口移動報告」で本県における在留外国人の人口移動をみると、20年1月から21年10月までの国内での移動は545人の転出超となり、一方、国外での移動は113人の転入超となっており、本県の在留外国人の減少は本県から他都道府県への転出超によるものである。本県では、日本語学校などを卒業した在留外国人が県外の専門学校に進学したり、専門分野の在留資格を取得して県外に就職するケースが多く、コロナ前から在留外国人の他都道府県への転出超の傾向が続いていた。これまで他都道府県への転出超を国外からの転入超が上回り、本県の在留外国人は増加していたが、今般のコロナ禍による国外からの入国規制の影響で、他都道府県への転出超を補えなかったことが見て取れる。

 

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