Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

一戸あたり工事費予定額からみる今後の住宅市場

1.はじめに

 住宅の必要数は世帯数との関係が深く、世帯数の増加が見込まれる沖縄は今後も住宅需要が根強いと考えられる。そのため、新型コロナウイルスが収束した後、経済の回復に伴う住宅投資の増加が期待される。
 沖縄県における住宅の建て方別割合をみると、共同住宅の割合が年々増加傾向にあり、世帯数の増加に対して貸家やマンションなどの共同住宅が受け皿となっていたことがわかる(図表1)。しかし、ここ数年、こうした状況に変化がみられ、共同住宅に対する新たな対抗馬として木造の一戸建てが存在感を増している。
 これまでは、好調な県経済と資金調達コストが低水準であることが需要者の住宅取得を後押しした。旺盛な需要に対し、交通インフラや消費地などへのアクセスに優れた好立地に多くの共同住宅が建築され、建築単価の上昇も相まって家賃や販売価格も上昇傾向にあった。しかし、足元では、新型コロナウイルス感染拡大による影響で雇用・賃金情勢が弱い動きとなり、需要者は住宅取得に慎重となっている。
 こうした中、分譲住宅の木造一戸建ての着工戸数が増加している。共同住宅の多くは鉄筋コンクリート造(以下、RC造)であるが、木造一戸建てはRC造に比べ建築単価が安価であり、共同住宅と比較して割安感が生じている。割安感の具体例の一つとして月々の支出を考えると、販売価格3,500万円の分譲住宅木造一戸建を住宅ローンを借り入れて購入した場合、月々の支出は88,499円(借入年数:40年、金利:1.0%、頭金なし)となり、場合によっては貸家の家賃より家計への影響を抑えることができる。
 本レポートでは、新型コロナウイルス感染拡大による影響が沖縄の雇用・賃金情勢に大きな影響を与えていることを踏まえ、着工新築住宅における一戸あたり工事費予定額に着目し、供給側(ハウスメーカーなど)の変化から沖縄における今後の住宅ニーズを考察する。

2.これまでの傾向と足元の動き

 住宅・土地統計調査から昭和63年以降の推移をみると、住宅の建て方別割合は共同住宅の割合が増加し、一戸建の割合は減少していることがわかる(図表1)。また、持ち家住宅率の減少もみられることから、貸家や分譲マンションの居住者の割合が増加した一方、戸建の居住者の割合が減少したことがわかる。

 

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