Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県経済2020年の回顧と2021年の展望

【2020年の回顧】

 ~ 国内経済は厳しい状況のなか、持ち直しの動き ~

 ~ 県内経済は後退したのち下げ止まりの動き ~

○国内経済は、新型コロナウイルスの影響で企業収益、設備投資、個人消費が弱い動きとなったものの、主に中国向けの輸出の回復から生産が持ち直したことから、全体としては厳しい状況のなか、持ち直しの動きとなった。

○県内経済は、消費関連、建設関連が弱含む動きとなり、観光関連は後退したのち下げ止まりの動きとなったことから、全体として後退したのち下げ止まりの動きとなった。

○個人消費は、19年10月の消費税率引上げの影響や、新型コロナウイルスの影響で全体的に弱含む動きとなった。百貨店・スーパー売上高は、外出自粛による巣ごもり需要などで食料品は既存店・全店ともに好調に推移した。耐久消費財では、新車販売は、観光客減少によるレンタカー需要の減少などで、前年を下回った。家電卸売は、特別定額給付金により一時、白物家電やエアコンが好調に推移するも、新型コロナウイルス感染再拡大の影響などで家電量販店向け販売が減少し、前年を下回った。

○建設関連は、弱含む動きとなった。公共工事では前年を若干下回るものの底堅く推移した。民間工事では居住用で前年を大きく下回るなど一服感がみられた。

○観光関連は、新型コロナウイルスの影響により、後退したのち下げ止まりの動きとなった。入域観光客数は国内客、外国客ともに大幅に減少した。主要ホテルは宿泊客室稼働率、売上高ともに前年を下回った。観光施設、ゴルフ場入場者数も前年を下回った。

○雇用情勢は、新型コロナウイルスの影響で、5月より単月の有効求人倍率(季調値)が1.0倍を下回り、完全失業率は上昇し悪化が続いた。また、企業倒産は新型コロナウイルスによる金融支援の効果により、件数は減少した。

【2021年の展望】

 ~ 国内経済は回復ペースが加速、県内経済は持ち直しの動き ~

○国内経済は、新型コロナウイルスのダメージから徐々に回復していき、夏の東京オリンピック・パラリンピックの開始を契機に、その後は回復ペースが加速するものとみられる。

○県内経済は、消費関連は巣ごもり需要や節約志向の継続が予想されることから、弱含む動きが継続する見込み。建設関連は公共工事では引き続き底堅く推移するが、民間工事では新型コロナウイルス感染拡大による影響で先行き不透明感が強く、設備投資や住宅投資の減少が見込まれることから、建設関連としては弱い動きとなろう。観光関連は新型コロナウイルスのワクチン接種の開始や、東京オリンピック・パラリンピックの開催により国内外からの人の動きが回復することから持ち直しの動きとなろう。全体として持ち直しの動きとなろう。

○個人消費は、新型コロナウイルスのワクチン接種開始などで消費マインド回復に期待がかかるも、巣ごもり需要や節約志向の継続が予想されることから、弱含む動きが継続する見込み。

○建設関連は、弱い動きとなろう。公共工事では引き続き底堅く推移するとみられる。民間工事では新型コロナウイルス感染拡大による影響で先行き不透明感が強く、設備投資や住宅投資の減少が見込まれることから弱い動きで推移するとみられる。

○観光関連は、持ち直しの動きとなろう。新型コロナウイルスのワクチン接種の開始や東京オリンピック・パラリンピックの開催により、国内外からの人の動きが回復して入域観光客数は前年を上回ることが見込まれる。ただ、新型コロナウイルスの感染リスクが完全に払拭される訳ではないことから、年間1,000万人の回復には時間を要することが見込まれる。

 

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