Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

沖縄県における中古マンション価格の推移と将来予測

≪要旨≫

・国土交通省の推計によると、全国における築40年超のマンションは今後急増すると予想され、維持管理の適正化や維持修繕等が困難なマンションの再生に向けた取組みが喫緊の課題となっている。

・こうした背景を受け、地方公共団体の役割の強化によってマンション管理の適正化を図る改正法が2020年6月に成立した。

・中古マンション価格決定の第一要因は需給関係である。不動産価格はその流動性の低さから景気動向に対して遅れて変動すると考えられる。コロナ禍が今後の中古マンション価格の動向にどう影響するかが注目される。

・2008年10月時点における都道府県の中古マンション価格と平均築年数から、①標準的なグループ、②築年数の経過に対して価格が下がりにくいグループ、③築年数が短いが価格が低い水準のグループの3つに区分した。沖縄県は、①標準的なグループに属する結果となった。

・2020年10月時点と2008年10月時点を比較すると、全国的に中古マンションの平均築年数は長くなり、価格は上昇したことがわかる。また、地域間のばらつきが広がる傾向にあった。

・沖縄県は、同期間において平均築年数に大きな違いはなかったが、価格は約2倍に上昇し、全国の値から算出した標準的な目安とも大きく乖離する結果となった。

・沖縄県は全国トップの価格上昇幅となったが、①標準的なグループに属しており、②築年数の経過に対して価格が下がりにくいグループには属していないことがわかった。

・マンションは居住用としてだけでなく投資用としても評価される。築年数の経過に対して資産価値が下がりにくいということは投資用物件として重要な要素である。

・資産価値をできるだけ下げない取組みは経済活動を活発にし、結果的に県経済の拡大に寄与する。

・沖縄県の中古マンション価格はここ数年で大きく上昇したが、沖縄県の中古マンションは今後平均築年数が高経年化すると考えられ、将来予測の結果からも価格の低下が予想された。

・将来、これまでのような新築マンションの価格上昇に伴う中古マンションの価格上昇は見込めないことから、地方公共団体による積極的な関与のもと、改正された関係法令を活用した既存マンションの管理、改修のあり方などについて早急に方向性を議論する必要がある。

・沖縄県の中古マンション市場では、マンション新築ラッシュから既存マンションの魅力の向上へと焦点が移行しつつあるのではないかと考えられる。

 

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