Ryugin Research Institute Ltd.

調査レポート

コロナ下における県内個人消費の動向について

要旨

・世界各国で新型コロナウイルスが感染拡大し、広範囲に大きな影響を及ぼしている。本レポートは、新型コロナウイルス下の県内個人消費の動向を探るべく、家計調査をもとに消費支出額の傾向をみるとともに、弊社の月例景況調査先を中心に2020年4月~8月の状況についてヒアリング調査を実施しまとめたものである。

・2019年10月の消費税率引上げ後、県内および全国では節約志向の動きがみられ、個人消費は弱い動きとなっていた。そして2020年4月、新型コロナウイルスの影響により政府による緊急事態宣言が発出され、消費は大幅に下落した。一方で、5月頃から順次実施された1人10万円の特別定額給付金支給は、消費の持ち直しに期待がかかるも、県内および全国ではそれほど消費に回らなかった。

・外出自粛で家にいる時間が増加したことで、県内の消費支出のうち生活必需品である食料や、ステイホームを有意義に過ごす目的でDIYや園芸用品関係が増加した。一方で、外出自粛により衣服を着る機会が減ったことで被服関連の消費は減少した。また、遠出が控えられたことから交通、旅行宿泊なども減少した。

・2019年10月から2020年6月までの政府によるキャッシュレス・ポイント還元事業により、クレジットカード払いや電子マネー決済などのキャッシュレス決済が増加した。コロナ下では感染リスクを抑えるため「非接触」が浸透し、キャッシュレス決済が私たちの生活に定着するようになった。

・コロナの終息時期や景気回復の見通しは不透明であることから、消費活動について消極的な動きがみられる。しかし、インターネットを利用した買い物などは、全国をはじめ九州・沖縄地区でも増加している。県内スーパーやホームセンターも消費活動の変化に柔軟に対応するよう、ネットスーパーの拡充やSNSを活用した商品案内を実施、検討している。

・今後落ち込んだ消費を喚起するには、小売店舗側が実店舗以外にネットスーパーやオンラインショップといった消費のチャネルを増やすほか、特別定額給付金の再支給や消費税率引き下げといった経済対策の後押しが必要となろう。個人消費は経済活動に占める割合が大きく、影響力が大きいため、早期回復が望まれる。

このページのトップへ